記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
浮腫(むくみ)の原因といえば、塩分のとりすぎや水分不足、運動不足などが有名ですが、薬の副作用がきっかけで浮腫が起こることもあるのでしょうか?対処法と併せて解説します。
浮腫の原因には長時間の立ち仕事や、アルコール・塩分の取りすぎなどさまざまなものがありますが、薬の副作用で出ることもあります。具体的には、関節リウマチや喘息などでステロイド剤を飲んでいると顔がむくむことがあります。
ステロイド剤は体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があるので、多くの疾患の治療に使われています。しかしステロイド剤の副作用にある、食欲の亢進と脂肪の代謝障害によって、顔が月のようにむくむムーンフェイスが起こったり、中心性肥満といって、お腹がカエルのように膨らんだりします。
また、市販されている痛み止めや風邪薬に含まれている非ステロイド鎮痛剤によっても浮腫が起きることがあります。痛み止めは日常的に使用する方も多いと思いますが、使用すると腎臓への血流が低下するため、排出される尿が少なくなり、浮腫に繋がります。
他にも、降圧剤としてよく使用されているカルシウム拮抗薬は、血圧を下げる一方、血管を拡張させる作用があるものが多いため、水分が血管を通って組織に染み出す量が増え、浮腫が出てしまうことがあります。
なお、糖尿病の薬や睡眠導入剤などの中枢神経に作用する薬、感染症の治療などに使われる抗生剤、抗がん剤、比較的副作用が少ないといわれている漢方に多く配合されている甘草(かんぞう)などでも、とりすぎるとむくむことがあります。
頻繁に浮腫を起こしている方の中には、薬の副作用で起こっていることに気づいていない方がいます。新しく薬を服用し始めた後に浮腫があらわれたら、薬による副作用を疑いましょう。薬の副作用による浮腫の対処法は、原因薬剤の減薬または中止です。ただし、中止や減薬をする前に必ず主治医に確認をとるようにし、他系統の薬剤に変更してもらえないか相談してみましょう。
また、何日も浮腫が続いたり、尿の出が悪かったり、疲れやすい、片足だけむくむなどの気になる症状がある場合は、何か病気が隠れている可能性があります。腎臓や心臓の機能の低下により浮腫があらわれることもありますので、早めに医療機関を受診して、医師の診断を受けましょう。
他の対処法としては、日ごろから食事の塩分を控えたり、利尿剤を使ったりすると浮腫が解消されることもあります。しかし降圧剤として使用されているカルシウム拮抗薬に関しては、副作用に浮腫があることがあまり知られていないことに加え、利尿剤が効かないといわれています。
浮腫の対処法といえば、塩分を控えるなどの食生活の改善やウォーキングなどを思い浮かべる方も多いですが、そもそも浮腫が薬の副作用で引き起こされている場合もあります。このような場合、生活習慣の改善だけでは浮腫はおさまらないので、違和感があったら医師に相談して、薬と上手に付き合っていきましょう。