記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/12
記事監修医師
前田 裕斗 先生
生理が永久に停止する「閉経」。50歳前後で閉経する女性が多いですが、この閉経の前兆にはどんな症状があるのでしょうか。不正出血や吐き気が起きることもあるのでしょうか。
閉経とは、卵巣の機能が徐々に低下して、生理(医学的には月経というのが一般的です)が完全に止まることです。日本人女性の平均的な閉経年齢は50歳前後で、一般的には生理がない状態が1年以上続いた場合に閉経とみなされます。
閉経の主な前兆としては、以下のものが挙げられます。
閉経前後の約5年間を「更年期」と呼びますが、更年期になると、まず生理周期が変化するようになります。
例えば、正常な生理周期は25〜38日ですが、更年期では卵巣機能が低下し、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が減ることで、生理周期が短くなっていきます(頻発月経)。さらに卵巣の機能が低下すると、今度はダラダラと長い生理が8日以上続く過長月経が起こるようになります。
ここからさらに卵巣機能が低下すると、生理周期が39日以上と長くなり、2ヶ月に1度しか出血が起こらない稀発月経となります。そしてこの後生理が来なくなり、閉経に至るのが一般的です。
個人差がありますが、更年期になると多くの場合経血やおりものの量が減少します。
更年期になると経血の量が減少するため、うまく血が排出されないことで血液が酸化し、茶色っぽい色になっていきます。
閉経が近づくにつれて排卵が起こらなくなると、生理ではないのに出血が起きる「機能性出血」の発生率が高くなります。
ただし、長期間ダラダラと出血が続く場合は子宮がんや子宮筋腫などの疾患が隠れている可能性もあります。早めに婦人科で検査を受けるようにしてください。
ホットフラッシュは、更年期障害の代表的な症状の一つです。のぼせやほてりとともに、大量に発汗する現象です。このほかにもイライラや抑うつ、不眠、肩こり、冷えなど、ホルモンバランスの変化に伴う自律神経の乱れによって、さまざまな症状が起こり得ます。
閉経の前兆というか、更年期に差し掛かったことで吐き気が起きるケースは少なくありません。普段、胃腸はリラックス作用のある副交感神経が優位なときに活動しますが、エストロゲンの減少に伴い自律神経が乱れると交感神経が活性化し、胃腸の不調や吐き気が引き起こされるようになるからです。
吐き気の程度には個人差があり、軽い胸焼け程度の人もいれば、つわりのように激しい吐き気で嘔吐してしまう人もいます。
閉経の前兆として代表的なのは、生理周期の変化や経血量・おりものの変化などですが、不正出血や吐き気が見られることもあります。ただし、子宮がんや子宮筋腫などが原因で不正出血が起きているケースもあるので、生理でもないのに出血が長く続くなど異変に気付いたら、早めに婦人科を受診してください。