記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/3 記事改定日: 2019/4/15
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
前立腺炎には急性のものと慢性のものがありますが、それぞれで発症の原因は異なるのでしょうか。また、有効な予防方法などはあるのでしょうか?以降で解説していきます。
前立腺とは、膀胱の下にある尿道を取り囲んでいる場所で、精子の栄養となる分泌液を産生しています。前立腺は年齢を重ねるとともにクルミほどの大きさから徐々に大きくなっていきます。
前立腺が原因となり発症する病気としては、前立腺炎・前立腺肥大症・前立腺癌などが挙げられます。このうち前立腺炎とは、細菌感染やストレス・アレルギーなどによって、前立腺で炎症が起こる病気です。
前立腺炎になると、高熱、排尿時の痛み、排尿困難、残尿感、頻尿などが起こりますが、これらは急性前立腺炎の症状であり、慢性前立腺炎の場合は発熱がなく症状が穏やかなことが多く、残尿感、頻尿、排尿時痛、射精前後の痛み、会陰部不快感、鼠径部痛、下腹部不快感などが現れることがあります。
前立腺炎は、原因によっていくつかのタイプに分けられます。
まず急性細菌性前立腺炎は、大腸菌やクラミジアなどの細菌に感染することで前立腺が炎症を起こすものです。細菌には尿道や精巣上体からの感染、他の部位の感染症が血液を介して感染する場合などがあり、前立腺肥大症、尿道狭窄、尿道カテーテル留置、急性精巣上体炎、尿道炎、糖尿病などでは、前立腺炎の発症率が高いといわれています。
対して慢性前立腺炎は、急性症から移行するものと、慢性型から推移するものの2つのタイプに分けられ、さらに細菌(クラミジアや弱毒細菌など)に感染することにより起こる細菌性慢性前立腺炎と、細菌とは関係なく起こる非細菌性慢性前立腺炎に分けられます。
非細菌性前立腺炎の原因ははっきりしないケースも多いですが、ストレスが原因になることもあり、車の運転やデスクワークなどで長時間座っていることによる血行不良や、冷えが原因になることもあるとされています。
細菌感染により起こる急性細菌性前立腺炎の場合は、再発する可能性が高いため、「前立腺肥大症などの発症の有無の確認」「前立腺炎発症の原因となる糖尿病などの治療」が予防策として重要となります。
これは、急性細菌性前立腺炎は前立腺肥大症などの排尿障害のある人の発症率が高いためです。排尿障害になると、尿中に細菌が多くなることで前立腺内に細菌が入りやすくなります。
また、糖尿病になると感染症に対する抵抗力が低下するため、急性細菌性前立腺炎にかかりやすくなります。とくに血糖値の高い状態が続いている人は早急な対応が必要です。
急性前立腺炎は、クラミジアや淋菌感染症などの性感染症が原因となることがあります。
性感染症を予防するには、コンドームの正しい使用を徹底し、不特定多数との性行為を控えることが大切です。また、万が一発症した場合は、なるべく早くから治療を開始し、医師の指示があるまで投薬などの治療をしっかり続けることが大切です。
急性前立腺炎は放置したり、不十分な治療を行うと慢性化して不妊症の原因になることも少なくありません。また、性感染症が原因の場合は、パートナーにうつしてしまう可能性が高くなりますので、思い当たる症状がある場合は必ず病院を受診しましょう。
慢性前立腺炎の予防では、以下が効果的とされています。
一言で前立腺炎といっても、それが急性か慢性か、細菌性か非細菌性かなどによって有効な予防法は異なります。再発することも少なくない病気なので、発症したらまずは泌尿器科を受診し、主治医の指示にしたがって治療をし、再発予防に努めましょう。