乳がんがリンパ節転移をしてるかどうかって、どうやって調べるの?

2018/8/1

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

乳がんを発症した場合、気がかりなのがリンパ節転移です。では、リンパ節転移を発見するためには、どんな検査を受けるのが有効なのでしょうか?

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乳がんでリンパ節転移の有無を調べる方法は?

乳がんになると心配されるのが、わきの下のリンパ節への転移です。リンパ管は、血管とは別に全身に張り巡らされており、中には身体の中で不要な老廃物を回収するリンパ液が流れています。リンパ節は、身体の要所となる部分にあってリンパ管が合流する部分です。あちこちから集まってくるリンパ液の中に、細菌やウイルス、がん細胞などがないかをチェックして不要なものがあれば排除をしています。このリンパ節にがん細胞が転移していると、がん細胞が全身に移動できるような段階に達しているということになります。

乳がんでは、すぐ近くのわきの下のリンパ節を取り出して転移があるかどうかを確認します。リンパ節は脂肪の中に埋まっているため、脂肪も一緒に複数のリンパ節を切除する「腋窩リンパ節郭清(えきかりんぱせつかくせい)」を行うのが以前では一般的でした。この方法では、たとえ転移がなくても腕がむくんだり、手術した跡が痛むなど後遺症が残る可能性があります。

しかし、近年は、「センチネルリンパ節生検(せいけん)」という方法によって、センチネルリンパ節と呼ばれるリンパ節を切除するだけで、転移の可能性を調べられるようになりました。

リンパ節転移の有無を調べる「センチネルリンパ節生検」の方法は?

センチネルリンパ節は、乳がん細胞が最初にたどりつくリンパ節とされています。このセンチネルリンパ節にがん細胞が見つからなければ、他のリンパ節への転移はないと考えられています。腋窩リンパ節郭清を行う必要がなくなり、患者さんへの負担を軽減することにつながります。

センチネルリンパ節生検は、センチネルリンパ節を見つけるための方法です。乳房の腫瘍の周りや乳輪に、がん細胞のみが取り込むように加工した放射性同位元素または色素を注入します。すると、注入した元素や色素がリンパ液にのってセンチネル乳腺に集まります。これをもとに最初に染まったセンチネルリンパ節を取り出し、がん細胞が転移していないかどうかを調べます。センチネルリンパ節生検は、乳房の切除手術を行うときに同時に行います。

センチネルリンパ節生検のメリット・デメリット

センチネルリンパ節生検は世界中で用いられている方法です。この検査で、がん細胞の転移がなければ腋窩リンパ節郭清を行わなくて済むため、患者さんへの負担を軽減することにつながります。

しかし、検査に用いる薬剤や、乳房のどの部位に注射をするかなど、具体的な方法は施設の方針によって異なります。また、センチネルリンパ節が発見できず、検査が実施できない可能性もあります。どのような検査や治療でも、メリットやデメリットがあります。説明で不明な点があれば、我慢せずに主治医に確認をしましょう。

おわりに:メリットとデメリットの両方を理解したうえで検査の実施を

乳がんのリンパ節への転移を確認するための検査としては、患者への負担が軽減される方法として、センチネルリンパ節生検が近年用いられています。ただし、センチネルリンパ節生検を行っても、うまくセンチネルリンパ節を発見できない場合があるなど、いくつかのデメリットも存在します。メリット・デメリットの両方を踏まえた上で、どの検査を受けるか決めていきましょう。

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