記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
膀胱の真下にある前立腺という臓器が、加齢とともに肥大してしまう前立腺肥大症。50歳以上の男性の2割が発症するというこの病気は、どのように治療するのでしょうか。
今回は前立腺肥大症の治療方法を、治療に使われる薬の種類や、症状の程度別の治療の必要性などに着目して解説していきます。
前立腺肥大症の治療は、まずは投薬によって行われることになります。
治療に使われる薬には大きく分けて「5a還元酵素阻害薬」「a1ブロッカー」「抗男性ホルモン薬」「漢方薬・植物エキス製剤」「抗コリン薬」の5種類が挙げられます。
以下に、前立腺肥大症の治療に使われる5種類の薬の特徴をまとめてご紹介します。
前立腺肥大を縮小させる効果が期待できる、比較的新しい治療薬です。男性ホルモン(の一つのジヒドロテストステロン)を減らしますが、性機能に与える副作用は少ないとされています。
近年では、前立腺肥大症における投薬治療の第一選択薬となっています。
前立腺肥大症によって緊張している前立腺と尿道の筋肉を緩めて、頻尿や排尿困難の症状を和らげる薬です。「α1受容体遮断薬」とも呼ばれます。
5α還元酵素阻害薬と並び、近年の前立腺肥大症の投薬治療に積極的に使われています。
前立腺肥大の原因である男性ホルモンの作用を抑えることで、前立腺を小さくして、症状を緩和する治療薬です。
ここまでに紹介した3つの薬の補助的な役割として、前立腺の炎症を抑えるなどの目的で処方されるものです。
本来は過活動膀胱や尿道圧迫、頻尿など膀胱や尿道の疾患・症状に使われる薬ですが、前立腺肥大症の治療薬としても使われることのある薬です。
a1ブロッカーと同系統の薬である「ユリーフ®」には、前立腺の緊張を和らげることで、前立腺肥大症による排尿障害を和らげる効果が期待できます。
ただ一方で、以下のような副作用が発生するリスクもあります。服用にあたっては必ず用法・用量をまもり、副作用が出たときは速やかに主治医に相談するようにしてください。
前立腺肥大症が発見されても、患者本人に頻尿や排尿困難などの自覚症状がなく、特に日常生活にトラブルがない場合は、投薬治療を行わないケースもあります。
この場合は、以下のような生活指導をメインとした保存治療がとられ、前立腺肥大と症状に悪化が見られないかどうかを定期的に経過観察することになります。
投薬治療を続けているのに前立腺肥大症の症状が改善されない、または血尿や尿道感染、膀胱結石、腎機能障害など悪化が見られる場合は、手術が行われます。
以下に、前立腺肥大症の治療としてよく行われる5つの手術方法を簡単にご説明していきます。
尿道から電気が通るループを装着した内視鏡を挿入して、電気を流したループを使って、尿道の内側から肥大した前立腺をくりぬくように切除します。
尿道から内視鏡を挿入し、レーザーを照射して前立腺の「内腺」と呼ばれる部分を剥離して、くりぬくように切除して摘出します。
尿道から挿入した内視鏡の映像をたよりに、高出力のレーザーを肥大した前立腺に充てて、内腺と呼ばれる部分を蒸発させて切除します。
尿道に挿入したカテーテルからマイクロ波を照射し、肥大した前立腺組織の一部を壊死させることで、前立腺を縮小させます。
内視鏡下で尿道にステントという筒状の器具を設置し、尿道を拡げる手術方法です。
患者本人に自覚症状があり、前立腺肥大症が発見された場合は、投薬により前立腺縮小や前立腺・尿道の筋肉の緊張緩和などの治療が行われます。ただし自覚症状がない場合は、生活指導のみで定期的な経過観察のみを行うケースもあります。もし、投薬を行っても十分な効果が得られなかったり、悪化する傾向があるようなら、手術治療が行われます。症状の進行具合によっても治療内容は変わりますので、まずは医師に相談してください。