腰部脊柱管狭窄症のリハビリは手術前と手術後で違うの?

2018/7/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

脊柱管(背骨の中を通る空洞)が狭くなり、腰周辺の神経が強く圧迫された結果、腰のだるさや足のしびれや、痛みなどが現れる「脊柱管狭窄症」。この記事では、腰部脊柱管狭窄症の手術前後のリハビリについて解説していきます。

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腰部脊柱管狭窄症の症状悪化を防ぐリハビリ方法は?

腰部脊柱管狭窄症の治療は服薬や注射などのほか、運動療法などのリハビリを取り入れて体の機能の向上を目指します。運動療法でキーワードとなるのが体幹のインナーマッスル(体の深部にある筋肉)です。鍛えられたインナーマッスルは体を支え、背骨にかかる負担を和らげることに役立つと考えられています。

無理なくできる運動療法

腹式呼吸

  1. 仰向けに寝そべる。
  2. 両ひざを90度くらいに曲げて、立てる。
  3. 腹式呼吸をする。おへその下に力を入れ、10回程度行う。

腹筋運動

  1. 仰向けに寝そべる。足元にバランスボールを用意しておく。
  2. 両脚をバランスボールにのせる。
  3. 両手を頭の後ろで組み、腹筋を意識しながら床から背中を浮かせる。10回程度を2セット行う。

バランスボールの大きさは、自分の身長や脚の長さに合うものを選びましょう。もし、外出中などに突然痛みを感じたときは、下記の方法で対処しましょう。

  1. ベンチや椅子などに腰かける。
  2. 肘をひざにつけて、上半身を少し前かがみにする
  3. 深呼吸をゆっくりと10回程度行う。

腰部脊柱管狭窄症の手術後にはどんなリハビリをするの?

症状が重症化し手術をした直後は、絶対安静が求められます。リハビリを開始できるのは術後翌日以降からです。医師や作業療法士と相談のうえ、適切に取り入れましょう。

手術後に取り入れたいリハビリ

足首の上下運動(術後翌日以降から)

  1. ベッドの上で右足を伸ばす。足首を90度くらいにして、つまさきは上向きにする。
  2. 右足のつま先を、自分のおなかの方へ向かせる。
  3. 右足のつま先を②の反対側へ伸ばす。足首も一緒に伸ばしていく。
  4. 左足も同様に行う。1時間に2回ほど行うと、足の血液の循環が改善される。

筋力訓練、歩行訓練(~術後6週まで)

  1. 歩行器での歩行開始。
  2. ストレッチやリラクゼーションを取り入れて、足腰の筋肉を刺激する。
  3. 術後2週間以降を目安に、歩行練習スタート。

ブリッジ運動(術後6週間以降から)

  1. 仰向けに寝そべり、両ひざを立てる。足は肩幅くらいに広げておく。
  2. 床からお尻をゆっくりと浮かせる。肩は床についたまま、肩・へそ・ひざが一直線でつながる状態までお尻を浮かせる。無理はしないこと。
  3. ゆっくりとお尻を床に戻す。10回程度を2セット行う。

腰部脊柱管狭窄症で禁忌の動作は?

腰部脊柱管狭窄症は、腰に負担をかけてしまうと、一気に症状が悪化することがあります。絶対にNGなのは、腰を反らせる姿勢です。やってしまいがちな動作を知り、リスクを避けるようにしましょう。

  • 椅子に座るときは、お尻の位置は奥の方、背中は背もたれにもたれさせる。
  • 背筋を伸ばしすぎない。少し前かがみにすると〇。シルバーカーを利用するのもおすすめ。

その他おぼえておきたいNG動作

  • 腰をひねる。
  • 腰に負担のかかる動きで荷物を運ぶ。下にある荷物は、しゃがんでから持ち上げましょう。
  • 高いところの荷物をとるときは、を活用!
  • 同じ姿勢での立ちっぱなし、座りっぱなし。

おわりに:インナーマッスルを鍛えて、リスクを回避しましょう

加齢に伴い脊柱管は狭くなるため、発病のリスクは高くなります。高齢の方ほど日ごろからインナーマッスルや姿勢を意識し、体を整えておくことが大切です。一方で、無理は絶対に禁物。できることからコツコツと、ご自身の体を気遣いながら予防に取り組んでいきましょう。

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