記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/8/22
記事監修医師
前田 裕斗 先生
性病(性感染症)の一種、「コンジローマ(尖圭コンジローマ)」。名前だけなんとなく知っているという方も多いでしょうが、具体的にはどんな症状が出るのでしょうか。女性の場合の症状や検査方法、治療の痛みなどについて幅広くお伝えしていきます。
まず、コンジローマとは、主に性行為を通じてHPV(ヒトパピローマウイルス)6型・11型に感染したことで発症する性病の一種です。
HPVの感染から、およそ3週間〜8ヶ月(平均は3ヶ月ほどです)の潜伏期間を経て、性器や肛門付近にイボが発生するのがコンジローマの特徴です。
女性の場合の発生場所は、大小陰唇や腟前庭、会陰、尿道口、腟内、子宮頸部などです。イボの色は薄ピンクまたは黒っぽい茶色をしており、乳頭状(お椀を伏せた形)あるいはニワトリのトサカ状(カリフラワーのような形)をしています。なお、大きさは1〜3mmほどの小さなものから、数cm大の大きめのものまでさまざまです。
コンジローマはイボができても自覚症状がない場合が多く、たまたまお風呂で性器を洗ったときや、歩行時・排尿時に違和感を感じたことで発見に至るケースも少なくありません。
しかし、性器周辺でかゆみやヒリヒリとした痛みを感じる場合もあります。かゆみと同時にイボを発見した場合は、すぐに病院を受診してください。
症状の進行の仕方には個人差がありますが、放置しているとイボの数が増え、患部が広がる場合があります。
また、コンジローマの原因ウイルスであるHPVは基本的に良性型ですが、まれに悪性のHPVに同時感染している場合があります。この悪性のHPVは子宮頸がんの原因となるウイルスです。
そのほかにも、コンジローマに感染している女性が未治療のまま出産すると、赤ちゃんにHPVが感染する恐れもあります。こうしたさまざまなリスクがあるので、自覚症状があるのなら放置せず、すぐに検査と治療を受けるようにしてください。
女性のコンジローマは性器の外側だけでなく、腟や子宮頸部など内側に発生することもあります。そのため、婦人科の受診が適しています。
検査では症状の視診をした後、病変部からウイルス感染細胞を綿棒で採取して調べることになります。ただ、コンジローマは症状が特徴的なので、視診だけで済ませる医療機関も少なくありません。
なお、コンジローマと診断された場合は、パートナーにも感染の疑いがあるので受診をすすめてください(男性の場合は泌尿器科や皮膚科で診てもらうのが一般的です)。
コンジローマの治療法には、塗り薬の塗布による薬物療法と、手術による外科治療とがあります。このうち手術では、液体窒素でイボを凍らせてから除去する凍結療法や電気メスで焼く方法、レーザーで取り除く方法などが実施されます。手術中はもちろん麻酔が効いているため痛みはありませんが、術後にはいずれも多少の痛みを伴ったり、傷跡が残ったりすることがあります。
性器の外側や内側にカリフラワー状のイボがある場合は、コンジローマの疑いがあります。女性の場合は放置すると出産時の母子感染のリスクも生じるので、なるべく早く婦人科を受診し、検査を受けるようにしてください。