記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
若い人がイッキ飲みをしたことで「急性アルコール中毒」に陥り、命を落としてしまう悲しいニュースを時々目にします。この急性アルコール中毒の状態になると、具体的にどんな症状が出るようになるのでしょうか。最悪の事態を防ぐためにも、サインとなる症状や対処法を知っておきましょう。
「急性アルコール中毒」は、「イッキ飲み」などで起こりやすい、命が危険にさらされる可能性のあるアルコール中毒です。一時的に短時間で大量に飲酒することで、肝臓でのアルコール代謝が追いつかなくなって血液中のアルコール濃度が急上昇し、「ほろ酔い期」も「酩酊期」も飛び越し、一気に「泥酔」「昏睡」の状態に進んで呼吸困難などを引き起こします。お酒に弱い人は少量のアルコールでも危険な状態になる場合があります。
症状としては、「悪酔い」「血圧の低下」「呼吸困難」「意識の混濁」「昏睡」「失禁」などがあげられ、紅潮や灼熱感、発汗、動悸、胸痛、頭痛、不穏、めまい、目のかすみ、吐き気やおう吐、口の渇き、脱力のほか、急に立ち上がったときに失神を起こす場合もあります。また、泥酔中の失態を後で思い出せない「記憶の抜けおち(ブラックアウト)」や、18時間以上の空腹後の大量の飲酒では「アルコール性低血糖」を起こすこともあります。
急性アルコール中毒は、命に関わります。イッキ飲みなどで過度の飲酒をしない、させないことがまず大切ですが、万が一周りの人が酔いつぶれてしまった場合には、一人だけにして放置せず、危険な状態に陥っていないか絶えず注意する必要があります。
まず、泥酔した人は意識がないため、おう吐物による窒息や転落事故を招く危険性があるので、寝かせるときはおう吐物が自然に口から出るように横向きにします。名前を呼んだりゆすっても反応がない、全身が冷えきっている、呼吸がおかしい、大量の血や食べ物を吐いている、失禁しているといった場合は、昏睡状態になっておりそのまま死に至る可能性があるので、すぐに救急車を呼びましょう。救急車が来るまでの間にもどんどん症状は進むので、必ず誰かが付き添いましょう。
まずはイッキ飲みなど無茶な飲み方、飲ませ方をしないことが大切です。強要されそうな飲み会などでは、事前にはっきりと意思表示しておいたり、ひと工夫したユニークな断り方を用意しておくなどして、危険な飲み方を勇気を持って上手に避けるようにしましょう。
無理に勧められている人がいたら、周りの人が助けてあげることも大切です。そのような席には最初から行かない、乾杯だけして失礼する、トイレに行く、つぶれたふりをして早目に逃げることなども手段のひとつです。自分の適量を知り、その日の体調によっては控え目にするようにし、アルコールが胃腸から速く吸収される空腹時などの飲酒は避けるかつまみをとりながら飲むようにしましょう。
急性アルコール中毒は、一時的に短時間で大量に飲酒することで血中のアルコール濃度が急上昇し、意識の混濁、昏睡、血圧低下、呼吸困難、おう吐などを起こし、最悪の場合死に至る可能性もあります。イッキ飲みやお酒の強要はせず、万が一昏睡状態に陥る人がいた場合はすぐに救急車を呼びましょう。