記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/8/17
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「うつ病は再発しやすい」とよくいわれますが、果たしてこれは本当なのでしょうか?再発を予防するために、何かできる対策はないのでしょうか?うつ病再発のサインとなる症状と、併せてご紹介していきます。
うつ病は再発する可能性がある病気ですが、その要因のひとつに、回復後もしばらく薬を飲み続けなかったことが挙げられます。
うつ病は、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、時間をかけて緩やかに回復していく病気です。また、症状が良くなったからといって、すぐに薬を止められるような病気ではありません。うつ病の治療では症状が回復した後も、およそ半年間は薬を飲み続けながら、経過を追うことが必要とされています。重症の場合には、1年以上に渡ることもあります。
どの程度の期間薬を飲み続けることになるのかは、定期的に診察を受けながら主治医に相談をしていきましょう。薬を飲み続けることへの不安がある場合は、医師に伝えてみることも大切です。
また、認知行動療法を通じて考え方の癖を少しずつ修正していくと、うつ病の再発を予防しやすくなるという報告もあります。
脳では、神経細胞同士が情報をやりとりするために、神経伝達物質がはたらいています。代表的な神経伝達物質に、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンがあり、うつ病の治療で使用する抗うつ薬は、これらの神経伝達物質が脳の中に多くなるように調整をしています。
抗うつ薬は、脳内に作用する薬であり、急に止めるとさまざまな症状が起こる可能性があります。不安や気分の浮き沈み、いらいらなど、うつ症状が悪化したように思われる症状のほかにも、めまいやふらつき、吐き気や嘔吐、全身のだるさや筋肉痛といった体の症状があらわれることもあります。
抗うつ薬は、医師が慎重に減らし方を計画していきます。うつ症状の状態だけで判断するものではなく、用いている薬の特徴に合わせてスケジュールを決めていく必要があります。中には、順調に減らしていっても、数ヶ月以上の期間がかかることもあります。
そのため、自己判断で薬を止めると、せっかくのスケジュールが崩れてしまったり、医師が経過を判断できなくなったりすることにもつながります。焦る気持ちは抑えて、医師と相談をしながら薬の調整を行っていきましょう。
休養をしていた間は症状が良くなっても、仕事の忙しさや何らかのストレスをきっかけとして、再び脳の働きのバランスが崩れてもおかしくはありません。うつ病再発のサインとしては、倦怠感や疲れが取れない、不眠やネガティブな思考などが挙げられます。
もし、再発のサインが見られたときには、生活スタイルを見直すと共に、早めに主治医に相談をしましょう。
うつ病は、ゆっくりと回復する病気のため、焦らずにじっくりと治療をすることが必要です。症状が落ち着いた後も、ある程度の期間は薬を飲み続けることで、再発を防ぐことにつながると考えられています。うつ病の治療に用いる抗うつ薬は、急に服用を止めると体調が悪くなることもあります。ちょっとした体調不良は再発の兆候かもしれません。何か変だと感じたときは、主治医に相談をしていくことが大切です。