記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/4/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
出産からしばらく経っても疲れが取れない、やる気が起きない、些細なことにイライラするなど、出産後に無気力感や感情のコントロールがうまくいかない感覚を持つ女性は多いです。これらは「産後うつ」と呼ばれる症状で、出産を経験した女性なら誰もが経験するものです。産後うつになったとき、どのように過ごせば乗り越えることができるのでしょうか。
「産後うつ」とは、出産後数週間にわたって感じる精神的な疲れのことです。出産は全身のエネルギーを使い尽くす、とても激しい行為のため、肉体的なダメージが大きくなります。たとえば、産後腸のトラブルを抱えたり、背中の痛みといった症状が表れます。こうした肉体的に現れる症状のほかに、精神的な疲れも出てしまうことがあります。産後うつの症状が出ると、無気力になったり、落ち着かなくなったり、イライラしたりするようになります。
産後うつの原因として、以下のようなものが挙げられます。
出産を終えると、体はホルモンバランスを出産前の状態に戻そうとします。女性ホルモンが急激に変化するため、精神的に不安定な状態になります。ただ、これは出産を終えて体が回復するためのプロセスで生じることなので、この状態からすぐに回復するわけではありません。
体の不調を感じたとき、今までならひとりでゆっくり過ごして気分転換をはかることができましたが、今は生まれたばかりの赤ちゃんがいます。赤ちゃんはひとりではまだ何もできないため、常にそばにいて母乳やミルクをあげたり、おむつを替えたりといった世話が必要です。母乳育児の場合、母乳を作るためにさらに多くのエネルギーが必要なため、よりいっそう体の疲れを感じやすくなります。
生まれたばかりの赤ちゃんは、3時間おきに母乳やミルクをあげることが必要です。3時間おきに起きなければいけない、という責任感やそれに伴うストレスから、睡眠時間が短くなったり、浅い睡眠になったりする可能性があります。
また、母親になり、新しいことを学んだり、新しい課題に直面し、24時間赤ちゃんに対する責任感とそれに伴うストレスを感じて、今まで経験したことがないほど睡眠時間が短くなります。また、憂鬱な気分が、疲れを感じさせることもあります。
以下に、産後うつを乗り越えるためのヒントをご紹介します。
今は赤ちゃんや自分自身の健康を最優先で考え、そのほかのこと(洗濯や掃除、料理など)はできればやる、ぐらいにとどめましょう。出産前と同じように、すべてを完璧にやろうとしないでください。
少なくとも母親の体力が回復するまでは、パートナーに助けを求めましょう。赤ちゃんの世話や家事をパートナーと分担していない場合は、パートナーにやってもらえないか、頼んでみてください。このとき、感情的に伝えるのではなく、自分の体がどれほど疲れているのか、赤ちゃんの世話や家事を分担してもらえたらどのくらい助かるかを伝えてください。
また、実母や義母、親友に手を貸してもらうのもよいでしょう。赤ちゃんを連れて外に行ってもらっている間にひと眠りすることができますし、代わりに食料品やおむつを買ってきてもらうこともできます。
食料品やベビー用品などを注文し、自宅まで配達してもらいましょう。
赤ちゃんが眠っても、やるべきことはたくさんあるので難しいかもしれません。でも、15分だけでもいいので横になってください。赤ちゃんが再び起きるころには、気分が良くなっているはずです。
無気力な状態が続いたり、気分の落ち込みがひどく続く場合は、医師の診察を受けて、生理学的な要因が潜んでいないかどうかを診てもらってください。
どんなに赤ちゃんの世話が忙しくても、自分の体を大事にすることを忘れないでください。しっかり食べて昼寝をし、水をたくさん飲んでください。出産中に多くの水分が失われており、脱水症状によって疲れがひどくなる可能性があります。そして何よりも赤ちゃんとの時間を楽しんでください。