記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
手の乾燥が気になる季節になってきましたが、ハンドクリームにはさまざまな商品があり、どれを選んでいいかわからないと感じたことがある人もいると思います。ハンドクリームには、配合成分などにより分類することができ、種類によって期待できる作用が違ってきます。この記事では、ハンドクリームの種類とおもな作用と、選び方や使い方、塗り方のポイントについて解説していきます。
皮膚は、皮脂分泌腺から皮脂を分泌して皮脂膜を作り、水分が失われることを防いだり、異物の侵入を防いだりしながら皮膚を守っています。しかし、手のひら・足の裏には皮脂分泌腺が存在しないため水分が失われやすく、手のひらは乾燥に敏感で、乾燥によるダメージを受けやすくなっています。水仕事などを行うと、皮膚の保湿成分が流れ出します。ここに空気と皮膚の乾燥が加わることで、皮膚のターンオーバーができなくなります。
ハンドクリームを塗ることで、手の皮膚を保湿したり、乾燥によって失ってしまった皮膚本来の機能を補助したりすることができます。なお、ハンドクリームの種類は、おもに「保湿系」「ビタミン系」「尿素系」の種類に分けられます。
保湿系のハンドクリームには、おもにコラーゲン・セラミド・ヒアルロン酸などの保湿成分が配合されています。手に水分・油分を補給することで、手から水分が失われないように保護してくれます。カサカサと乾燥している・粉をふいているなど、おもに比較的軽度の手荒れがあるときに使用されます。
ビタミン系のハンドクリームには、おもにビタミンA・ビタミンB・ビタミンC・ビタミンEなどが配合されています。血行促進による冷えの緩和や乾燥により乱れた皮膚のターンオーバーの修復を促すことができます。ひびやあかぎれなど、おもに中程度の手荒れがあるときに使用されます。
尿素系のハンドクリームには、おもに尿素が配合されています。尿素には水分を保つ作用があり、肘・膝・踵などの皮膚が硬く角化している部位で使うと、やわらかくなりやすくなります。皮膚は乾燥すると正常なターンオーバーができなくなり、はがれるはずの角層がはがれなくなり、硬く厚く角化してごわつきとなってしまいます。一般的に、このように硬くなった場所にはおもに尿素系ハンドクリームを使いますが、あかぎれなど傷のある部位に使うと刺激を与えることになり、症状がひどくなる可能性もあります。
ハンドクリームを塗るときは、使用するハンドクリームの説明書を必ず確認し、指示を守って塗るようにしましょう。一般的なハンドクリームの塗り方は、以下の通りです。
ハンドクリームにはいくつか種類があり、体質や症状にあわせて使い分けることで、手荒れの悩みが解決しやすくなる場合があります。ただし、手荒れのなかには専門的な治療が必要なものもありますので、長期間続く場合や日常生活に支障が出るほど症状が重い場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。