赤ちゃんの涙が止まらない! ~流涙とは?~

2017/4/18

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

生後まもない赤ちゃんは、涙を流していることがあります。赤ちゃんでは「涙道」が未発達なために涙があふれすぎてしまうのですが、ほとんどは涙道の発達とともに自然にみられなくなります。ここでは、赤ちゃんにみられる流涙と先天性鼻流管閉塞について解説します。

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流涙と先天性鼻流管閉塞

流涙(りゅうるい)とは、下まぶたに涙が溜まっている状態をいいます。一般的には「涙目」とも呼ばれ、目がかすんだり、まぶたがヒリヒリしたり、目がベタベタしたり、目が腫れたりします。赤ちゃんや60歳以上の高齢者に最も多くみられます。

赤ちゃんで流涙が改善しないときは、先天性鼻流管閉塞を疑う必要があります。
目の内側、鼻の付け根を圧迫すると目の中に涙が逆流してきます。涙に粘液や黄色膿が混じっているなら鼻流管閉塞が疑われ、さらに涙道や涙嚢炎の確認のため通水試験や涙嚢洗浄、涙道ブジー、涙道チューブ留置術など病状にあわせた処置が行われます。

流涙の原因

目の粘膜(マイボーム線)は涙を乾きにくくさせる働きをしています。マイボーム線が正常に機能できず、目のところどころが乾いて痛みを伴うために、それを治そうとして涙が余分に出てしまいます。これが、流涙の原因です。
その他の原因として、以下のものが挙げられます。
・眼瞼外反
・眼瞼炎
・鼻流管閉塞
・眼の刺激(化学的な煙や砂粒など)
・結膜炎などの眼感染症
・アレルギー

流涙の治療

ほとんどの鼻涙管閉塞は、涙嚢(るいのう)をマッサージすることでよくなります。1日に3、4回、目の内側、鼻の付け根あたりを人差し指で奥に圧迫するように10回程度マッサージします。涙嚢炎を併発している場合は、マッサージ後に抗菌薬を点眼します。

大人では、ドライアイによっても流涙が起こることがあります。その場合は、点眼薬に加えて症状を悪化させるような活動を避けることが必要です。また、原因がアレルギーや感染症の場合は、投薬が必要です。鼻涙管閉塞は、手術が必要な場合がありますが流涙が生活に支障をきたしていないなら治療を受けないという選択肢もあります。

流涙を伴うほかの病気

生まれてまもない赤ちゃんに流涙がみられる病気には、新生児結膜炎があります。鼻涙管閉塞に症状は似ていますが、眼瞼の発赤、腫脹や結膜の充血、浮腫、膿性眼脂などがより顕著にあらわれます。

また、赤ちゃんでは「逆さまつげ」によっても流涙がみられます。

おわりに:止まらない涙はお医者さんに!

赤ちゃんは泣くことが仕事・・・といわれますが、おなかがすいた、おむつがぬれている、暑い、寒い、だっこして! など、赤ちゃんが泣くにはそれぞれ理由があります。理由のない「涙」には大きな病気がかくれているかもしれません。赤ちゃんの涙には注意が必要ですね。

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