記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/20
記事監修医師
前田 裕斗 先生
子育てが初めての場合、些細なことも不安になりますね。
特に、赤ちゃんが何時間も泣くとき、何をしても泣き止まないとき、どうしたらいいかわからず、ただおろおろしてしまうでしょう。
この記事では、赤ちゃんが何時間も延々と泣く場合の原因や対処法についてお伝えします。
赤ちゃんが何時間も泣いていませんか?
急に激しく泣き出し、何をしても、赤ちゃんを泣き止ませることができません。
号泣が毎晩続くということであれば、疝痛(せんつう)の可能性が高いです。
疝痛は病気ではなく、自然におさまりますが、赤ちゃんや家族にとって非常に大きな問題です。泣き声は何時間も続き、夜中まで続くこともあります。何をしても赤ちゃんは泣きやまず、途方にくれてしまいます。
疝痛には明確な定義はありませんが、「3」という数字がひとつのキーワードとなります。
・1日3時間以上泣く
・週3回以上怒る
・3週間以上続く
赤ちゃんによっては上の期間以上、泣く場合もあります。
しかし、疝痛はずっと続くものではありません。ほとんどは約6週間でピークに達し、通常は10〜12週間後に軽減し始めます。
3か月までには、ほとんどの赤ちゃんはおさまります。突然、発作が起きなくなることもありますし、徐々に収まっていくこともあります。
赤ちゃんの疝痛には、先ほど挙げた3つのルールに加えて、下記のような兆候と症状があります。
・毎日同じ時間に泣き始める(午後や夕方など。時間帯は変化することもある)
・何の理由もなく突然泣き出す
・手足を伸ばしてバタバタする
・腸が活発に活動している場合、ガスを出したり、嘔吐することがある
・泣き続け、授乳もしないし、寝ることもない
疝痛とそれ以外の「泣く」との違いの明確な定義はありません。医師にも泣き声の違いはわかりません。
疝痛の正確な原因は謎ですが、遺伝が原因ではないこと、子育ての方法の問題ではないことがわかっています。
疝痛の原因といわれている主なものを以下に挙げます。
生まれたばかりの赤ちゃんには、周囲の視界や音を調整するためのメカニズムが組み込まれているため、環境の影響を受けずに眠ったり、母乳を飲んだりすることができます。
しかし、生まれたひと月経つころ、このメカニズムは消えてしまいます。そうすると、赤ちゃんは周囲の刺激に敏感になり、非常に多くの刺激を受けて驚くあまり、そのストレスを解消するために、泣き叫ぶといわれています。この場合、赤ちゃんが環境刺激に慣れると、疝痛は終わります。
泣いている赤ちゃんを落ち着かせるのは簡単なことではありません。赤ちゃんが落ち着くために役立つ方法を挙げておきます。
泣くことは、赤ちゃんが要望を伝える唯一の方法です。赤ちゃんが泣いたら、無力だと思っても、そばに駆けつけてあげてください。
研究によると、赤ちゃんの泣き声にすぐに反応することで、泣く回数が減るという結果が出ています。
赤ちゃんの周囲を落ち着いた環境にしましょう。ライトを薄暗くしたり、何も話さないで静かにするなど、刺激を最小限におさえてください。
腹部に圧力がかかったときに落ち着く赤ちゃんもいます。赤ちゃんを膝の上にうつ伏せまたは仰向けにおいて、抱きしめるように軽くなでてみましょう。
消化管のガスを減らすことで不快感と「泣き」を減少させるという研究結果があります。ガス抜きの薬を試すことを小児科医に相談してみましょう。
母乳育児の場合は、アブラナ科の野菜(キャベツ、カリフラワーなど)、酸性柑橘類、アレルギー性食品(乳製品など)など、お腹のトラブルを引き起こす可能性のある食べ物を摂らないようにしてみましょう。
ミルクで育っている赤ちゃんの中には、お腹が敏感な子もいます。牛乳を含まないミルクに変えることで変化が見られることがあります。
家の外に出るだけで、驚くほど赤ちゃんの気分が変わることがあります。
ベビーカーに乗せて赤ちゃんを連れ出すのもいいですし、ドライブに連れていくのもいいでしょう。
赤ちゃんが泣くことの悩みを、ひとりで抱え込まず、家族や友人、医師に話してください。孤独ではないと思うだけで、気持ちも楽になるでしょう。