記事監修医師
前田 裕斗 先生
2019/4/14
記事監修医師
前田 裕斗 先生
婦人科系のがんの中でも、卵巣がんは見つかりにくく、治療しても回復する確率が低いがんとして知られています。この記事では、卵巣がんが見つかりにくい理由と、その対策としてどんな検査を受けるといいかを解説します。
婦人科系のがんの中でも、卵巣がんは見つけるのが難しいがんといわれています。その理由として、卵巣は骨盤の中にある臓器であるため、お腹のふくらみに気づくくらい腫瘍が大きくならないと異変に気づきにくい、ということが挙げられます。
「私は毎年子宮がん検診を受けているから安心」と思っている方がいらっしゃるかもしれません。でも、子宮がん検診では内診と子宮頚部の細胞を採取する検査が行われますが、この検査だけでは卵巣の様子がわからないのです。このことも、卵巣がんを見つけにくい理由のひとつといわれています。
子宮がん検診でも内診するので、そのときに見つかる可能性があります。ただ、卵巣がんを発症しやすい40歳代以降の方はお腹に脂肪がたくさんついていることが多く、内診をしても卵巣の様子までわからないことが多く、結果として初期の卵巣がんを見逃してしまう可能性があります。
その結果、気づいたときにはかなりがんが進行していて、手を打つのが難しい状況になっていた、ということが起きてしまうのです。
初期の段階で卵巣がんを見つけるためには、子宮がん検診とともに、超音波の検査を受けるのがおすすめです。
超音波検査は、子宮がん検診のときにあわせて受けるとよいと思います。ただ、腹痛や腹部膨満感、不正出血がみられたり、お腹にしこりがあるような感じがしたら、子宮がん検診のタイミングではなくても超音波検査を受けることをおすすめします。
過去に乳がんや子宮体がん、大腸がんを発症したことがある方や、家族に卵巣がんになったことがある方は、卵巣がんを発症するリスクが高いです。
また、卵巣がんは排卵回数が多いと発症しやすいことから、出産経験がない(もしくは少ない)方や、初潮が早くて閉経が遅い方もリスクが高いといわれています。そして、子宮内膜症を発症している方も、卵巣がんに注意したほうがよいでしょう。
リスクが高いからといって必ず卵巣がんになるわけではありませんが、先にも述べたように、卵巣がんは進行が早いがんです。自分の身を守るためにも、検査は欠かさず受けましょう。
卵巣がんは自分で気づくのが難しい病気だからこそ、検診で定期的にチェックすることが大切です。特に、家族に卵巣がんを発症したことがある方など、記事の中でリスクが高い方は超音波検査を受けることも前向きに検討してください。