記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/3/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
風邪やインフルエンザの流行は毎年気になりますよね。多くのみなさんの関心が高い病気に比べると、「溶連菌感染症」は効きなれない病気かもしれませんが、実は身近な病気で、薬による治療が必要な感染症です。この記事では、もし溶連菌感染症と診断されたらどんなことに気をつけるといいかご紹介します。
溶連菌感染症とは、溶連菌(溶血性連鎖状球菌)に飛沫感染することで発症する病気です。年間を通して感染リスクは存在し、のどから感染して症状を引き起こすと考えられています。首や手首、股関節などに小さな赤い湿疹、舌に赤いぶつぶつ(いちご舌)といった特徴的な症状があらわれたら、溶連菌感染症のおそれがあります。
溶連菌感染症では、発熱やのどの痛みといった風邪とよく似た症状があらわれることがありますが、咳や鼻水は出ません。溶連菌感染症の可能性のある症状を下記で紹介します。
溶連菌感染症は自然治癒する病気ではありません。治療せずに症状を放置しておくと、合併症を引き起こす可能性があります。首や手首、股関節に発疹がみられたら、病院で検査を受けてください。
病院では検査を行いますが、結果は10分以内でわかりますので感染しているかどうかが比較的早くに診断されます。
溶連菌感染症と診断されたら、抗生物質を服用します。症状によって熱やのどの痛みを和らげる薬が処方されますので、医師の指示に従って5~10日間ほどかけて薬を飲み続けます。抗生物質を飲み始めると、2~3日ほどで熱やのどの痛みが治まってきます。発疹の急性期を過ぎると、手足の指先などから皮むけがみられます。
抗生物質は、溶連菌を抑える大切な薬です。重篤な合併症やほかの人への感染拡大を防ぐためにも、医師が処方した薬はすべて飲みきりましょう。
処方された抗生物質を飲みきらないと再発を繰り返したり、溶連菌がきちんと退治されず合併症を引き起こす可能性が上昇してしまいます。
「熱がひいたし湿疹も治まった」と思っても、体内にはまだ溶連菌がしっかりと潜んでいることがありますので油断は大敵です。症状が改善したあとも病院を受診して検査を受け、きちんと完治したかどうか診てもらいましょう。
溶連菌感染症は、大人と比べて子供が感染することが多い病気です。保育園や幼稚園、小学校に通っている子供は感染する可能性が高いと考えられます。お子さんが溶連菌感染症を発症したら幼稚園などに連絡し、登園・登校はできなくなります。
また溶連菌感染症を発症した子供がそばにいて、ご自身のお子さんにも発疹などの症状がみられたらすぐに病院を受診してください。
溶連菌感染症は子供が罹りやすい流行性の感染症です。治療方法は、医師の指示に従って抗生物質をきちんと飲みきることが大切です。治療を中途半端にしてしまうと、重篤な合併症、何度にもわたる再発、保育園・幼稚園や会社での感染拡大を招きます。発症したら、しっかりと治療しましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。