緊張型頭痛の症状が起こる仕組みと対処法について

2025/9/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

緊張型頭痛は慢性頭痛の中で最も多いといわれる頭痛であり、後頭部から首筋にかけて、頭のまわりを何かで締めつけられているような痛みが現れます。この記事では、緊張型頭痛の症状が起こる仕組みと痛みを緩和するための対処法について解説していきます。

緊張型頭痛の症状が起こる仕組み

緊張型頭痛では、頭のまわりを締めつけられるような鈍い痛みを感じたり、重苦しい痛みを感じたりします。子どもから大人まで誰でも発症する可能性があり、30分程度で治まる場合もあれば、1週間近く痛みが続く場合もあります。また、頭痛とともに、首のコリ・肩コリ・めまい・ふらつき・だるさを感じることもあります。緊張型頭痛の痛みは、肩コリ・首のコリ・ストレスがおもな原因であり、ストレスが蓄積しやすい夕方以降に痛みを感じることが多いといわれています。

肩や首の筋肉の緊張が長時間続くと、血流が悪くなって筋肉の中に乳酸などの老廃物が溜まりやすくなります。この溜まった老廃物が周囲の神経を刺激し、頭痛を引き起こすと考えられています。肩や首の筋肉を緊張させる原因として、デスクワーク・枕や寝具による筋緊張が挙げられ、仕事・学校・人間関係などによるストレスや運動不足が原因になることもあります。なお、筋肉の緊張状態が長期間継続すると、筋肉が緊張していなくても頭痛が起こる場合があります。これは、筋肉をコントロールする機能や痛みを和らげる機能が異常を起こしてしまうためと考えられています。

緊張型頭痛の対処法

緊張型頭痛は、以下の対処法で緩和する可能性があります。

姿勢を正す、こまめに休憩する

デスクワークや勉強などでうつむいた姿勢が長時間続くと、肩や首まわりの筋肉の血流が滞り、肩コリや首のコリが起こりやすくなります。仕事中・勉強中は背筋を伸ばして姿勢を正すことを心がけ、こまめに休憩をはさんだり体勢を変えたりして、肩や首などにかかる負担を軽減しましょう。休憩中にストレッチを行うと、筋肉の緊張や疲れを解消しやすくなります。

冷え対策をする

体が冷えると血流が滞り、肩コリや首のコリが起こりやすくなります。暖房・防寒具・カイロ・ひざ掛けなどで寒さや冷えから体を守りましょう。また、暑い日でもエアコンがきいている室内は体が冷えやすく、血行が滞りやすいです。上着をはおったり、ひざ掛けをかけたりしながら体温を調節し、冷えから体を守るようにしてください。

目の疲れをやわらげる

肩や首のコリを感じる場合、目が疲れていたり、眼精疲労に陥っていたりすることが多いといわれています。蒸しタオルで目のまわりを温める・目のまわりをマッサージするなどで血流を促したり、睡眠環境を見直したり目薬を使ったりするなどして疲労回復を促しましょう。また、眼鏡・コンタクトの度数が合っていないことが原因になっている場合もあるので、一度眼科医に相談しても良いでしょう。

ストレス対策をする

ストレスは肩こり・首のこりの原因であり、緊張型頭痛のおもな原因でもあります。趣味の時間を作ったり、アロマや音楽を楽しんだりするなどして、リラックスできる時間を作りましょう。また、ストレスや不安を感じる原因について書き出したりすることも、ストレス対策になることがあります。

湯船につかる

ぬるめの湯船につかると、緊張した筋肉がほぐれて緊張型頭痛が緩和する場合があります。夏なら38度、冬なら40度くらいの湯船につかると、副交感神経が優位に働いてリラックスしやすくなるといわれています。お好みで入浴剤を入れたり、入浴中や入浴後に軽いストレッチをしたりするのもおすすめです。

寝具(枕・マットレスなど)を見直す

起きている間、肩や首はおよそ5キロの頭を支えています。睡眠中に適した姿勢で眠ることができると、起きている間にかかった負担を回復しやすくなります。朝起きたときに肩コリや首のコリを感じるという人は、適した姿勢で眠れるように、枕やマットレスを見直してみてもいいでしょう。

おわりに:ストレスやコリ、目の疲れのケアが緊張型頭痛の対処につながる

緊張型頭痛は、肩コリや首のコリ、ストレスなどが原因で発症します。頭痛薬を飲むことも対処法のひとつではありますが、こまめに休憩を入れる・リラックスできる環境を作るなどすることも解消につながります。ただし、頭痛のなかには深刻な疾患が原因のものもありますし、緊張型頭痛のなかにも治療が必要になるものもあります。ひどい頭痛があるときや慢性的な頭痛が続くときは、早めに医療機関を受診しましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

緊張型頭痛(31) 緊張型頭痛の原因(2) 緊張型頭痛の症状(1) 緊張型頭痛の対処法(1)