記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/19 記事改定日: 2020/5/11
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
アセトアミノフェンとロキソプロフェンは、どちらも「解熱鎮痛剤」として使われる薬です。同じタイプの薬だからこそ、どういうときにどちらの薬を服用したほうがいいのか、悩むこともあるのではないでしょうか。この記事では、両者をどのように使い分ければいいのかを解説します。
アセトアミノフェンは解熱鎮痛剤(痛みを和らげ、熱を下げる薬)です。脳に感じる痛みを軽くすることで、熱を下げる働きなどがあります。また坐薬の場合、赤ちゃんや子どもの熱を下げるために使います。ただし、対症療法の薬なので、症状を和らげる効果はありますが、痛みや発熱の原因となっている病気や症状を治すことはできません。
アセトアミノフェンは、解熱効果や鎮痛効果のある成分として古くから使用されているものです。アセトアミノフェンを含む薬剤は多々ありますが、市販薬と処方薬にはそれぞれ次のようなものがあります。
ロキソプロフェンもアセトアミノフェンと同じく解熱鎮痛剤です。関節リウマチや頸肩腕症候群、歯痛などの痛みをやわらげるために使われます。炎症や痛みのもとになっている物質である「プロスタグランジン」が作られるのを抑えることによって、熱を下げるといわれています。アセトアミノフェンと同じく、ロキソプロフェンも対症療法の薬なので、痛みや熱の原因そのものを取り除くことはできません。
ロキソプロフェンはアセトアミノフェンと同じく解熱・鎮痛効果のある成分です。広く使用されている薬剤ですが、長く服用を続けると胃の粘膜にダメージを与えるなど思わぬ副作用があるため注意が必要です。ロキソプロフェンが含まれる市販薬と処方薬にはそれぞれ次のようなものがあります。
解熱鎮痛剤には、主に「NSAIDs(エヌセイズ)」と呼ばれる抗炎症作用のあるものと、ないものがあります。ロキソプロフェンには抗炎症作用があるのに対し、アセトアミノフェンには抗炎症作用がありません。
NSAIDsには、原因となる「プロスタグランジン」という物質が作り出されるのを抑える働きがあります。このため、ロキソプロフェンを始めとするNSAIDsを服用すると、炎症を抑えることができます。ただ、プロスタグランジンには胃粘膜を保護するはたらきもあるため、ロキソプロフェンを服用すると胃の不快感といった副作用がみられる場合があります。
一方、アセトアミノフェンにはこのような副作用はありません。比較的副作用が少ない薬といわれており、子供に飲ませても問題ない薬として知られています。
処方薬の場合、アセトアミノフェン(カロナール®など)とロキソプロフェン(ロキソニン®など)は併用できるといわれています。ただし、処方薬と市販薬の解熱鎮痛剤を併用すると副作用が出る可能性が高くなります。服用したいときは、事前に必ず医師や薬剤師に相談してください。
アセトアミノフェンを含む薬を2種類以上同時に服用してしまうと、重い肝障害がみられることがあります。アセトアミノフェンは市販の風邪薬に含まれていることもあるので、気づかないうちにアセトアミノフェンを大量に服用してしまう可能性もあります。思わぬ副作用に苦しまないためにも、普段アセトアミノフェンを服用している方が風邪薬などを服用したいときは、診察時や購入時に医師もしくは薬剤師に相談しましょう。
アセトアミノフェンとロキソプロフェンは、どちらも解熱鎮痛薬として利用されますが、ロキソプロフェンには抗炎症作用があるのに対し、アセトアミノフェンには抗炎症作用がありません。また、アセトアミノフェンは子供にも安心して使えますが、ロキソプロフェンは子供に服用させてはいけないとされています。このように、一言に解熱鎮痛剤といっても、細かな効果などには違いがあります。医師や薬剤師などに相談しながら、症状にあった薬を服用してください。