抗トロンボキサンA2ってどんな薬?

2019/6/27

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

アレルギー性鼻炎の症状を和らげる薬にはさまざまな種類があります。この記事では、その中のひとつである抗トロンボキサンA2薬について、特徴や副作用のリスクなどをご紹介します。

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抗トロンボキサンA2薬とは

抗トロンボキサンA2薬は、アレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくに用いられる薬です。

アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜にアレルギーの原因物質が付着したために起こるもので、くしゃみや鼻水といった症状が特徴です。また、気管支ぜんそくは、気道が腫れて狭くなり、呼吸しづらくなる症状です。このような症状を引き起こす物質のひとつに、トロンボキサンA2(TXA2)があります。

トロンボキサンA2は血小板の中で作られる免疫反応や炎症反応に関係する物質で、血管や気管支を収縮させたり、血管から免疫細胞が飛び出しやすくしたりする働きがあります。これらの反応は、からだを守るための大切な反応ですが、過剰に働くことでつらい症状を引き起こしてしまいます。

抗トロンボキサンA2薬は、トロンボキサンA2(TXA2)の合成を阻害したり、作用をするために受容体と結合することを邪魔したりします。トロンボキサンA2が働かないようにすることで、アレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくの症状を和らげます。

鼻炎の治療で使われる抗トロンボキサンA2の薬は?

抗トロンボキサンA2薬にはいくつかの種類がありますが、主にアレルギー性鼻炎に使用処方される薬として、ラマトロバン(商品名:バイナス®︎があります。

バイナス®︎は、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった不快な症状を和らげる薬で、トロンボキサンA2が鼻の粘膜や血小板にある受容体と結合することを邪魔することで作用を抑えます。また、炎症反応にかかわるプロスタグランジンという物質の受容体にも結合して、炎症反応を抑えます。

抗トロンボキサンA2薬で起こりうる副作用は?

抗トロンボキサンA2薬は副作用が起こりにくい薬とされていますが、歯肉出血や鼻血、月経が長びくといった出血関連の副作用が報告されています。特に、アスピリンやワルファリンといった血栓を予防する薬との飲み合わせで出血傾向が高まる可能性があるので、注意が必要です。

そのほか、吐き気や下痢、眠気などが起こることもあります。薬を飲み始めてから異常を感じたら、早めに受診をすることが大切です。また、薬の服用によって肝臓に負担がかかると、だるさや食欲不振、吐き気、発熱、皮膚のかゆみや白目が黄色くなるといった症状がみられます。初期症状はもちろん、長期的に薬を服用するときも注意が必要です。

おわりに:副作用の少ない薬だが、持病がある人は必ず医師・薬剤師に相談を

抗トロンボキサンA2薬は、トロンボキサンA2の産生を抑えたり、受容体との結合を邪魔することでアレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくの症状を緩和します。副作用は少ない薬とされていますが、出血しやすくなるため、アスピリンやワルファリンを服用している方は特に注意が必要です。脳や血管の薬を飲んでいる方はもとより、長期的に服用する必要がある場合は、定期的な診察とともに、気になる症状があるときはすみやかに医師に相談することが大切です。

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