記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/6/28
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
α(アルファ)-グルコシダーゼ阻害薬は血液中の糖の量を減らす薬です。結果的に血糖値が下がるため、糖尿病治療などに使用されています。今回は、α-グルコシダーゼ阻害薬の効果や副作用などをまとめました。
α-グルコシダーゼ阻害薬は、消化管から糖が吸収されるのを遅らせて血糖値を下げる働きがあります。
食事に含まれる炭水化物(でんぷんなど)は、そのままでは消化管から吸収できません。そのため、唾液や消化管の酵素が炭水化物をブドウ糖に分解します。消化管からブドウ糖が吸収され、さらに血管に吸収されることで血糖値が上昇します。血糖値が高くなりすぎるのが糖尿病です。
α-グルコシダーゼ阻害薬は、炭水化物を分解する酵素「α-グルコシダーゼ」の働きを阻害し、炭水化物がブドウ糖として吸収されるのを遅らせる力があります。結果的に血糖値の上昇が緩やかになる仕組みです。
α-グルコシダーゼ阻害薬は、単体で使用する場合は低血糖を起こしにくい飲み薬です。また、体重増加といった副作用も出にくいのが特徴といえます。
薬の性質上、食事の直前(5~10分ほど前が目安)に服用することで効果を発揮します。食後の血糖値の急上昇は、脳卒中や心筋梗塞など病気を誘発しかねません。医師の指示通りに服用し、血糖値をコントロールすることが大切です。
この章では、α-グルコシダーゼ阻害薬として代表的な製剤をご紹介します。
吸収型の薬なので、食後1時間ほど血糖値を抑制することが可能とされています。口腔内崩壊錠(OD錠)があり、飲み込む力(嚥下機能)が落ちている人でも利用しやすいです。
吸収型の薬です。口腔内崩壊タイプの錠剤も開発されており、飲み込む力が落ちている高齢者も利用しやすいのが魅力です。
非吸収型の薬です。口腔内崩壊錠もあり、高齢者などの飲み込む力が落ちている人も利用しやすいのがメリットです。ベイスン®︎は耐糖能異常による2型糖尿病の発症を防ぐために使用されることもあります。
α-グルコシダーゼ阻害薬の服用によって起こりうる副作用についてまとめました。
未消化となった糖の一部が大腸へ移動します。その糖を腸内細菌が発酵させるため、腸内にガスが溜まってお腹の張りやおならなどの症状が出ることがあります。また、頻度は非常に低いですが、腸内にガスが過剰に溜まると腸閉塞やイレウスなどを引き起こすこともあります。
特に、セイブル®︎は副作用として便秘よりも下痢が起こりやすい傾向があります。こうした症状がひとつでも出た場合は、医師に相談しましょう。
薬の服用時間と食事の時間が空いてしまうと、食事の前に薬の効果が現われて低血糖が起こることがあります。薬の服用時間と食事の時間は非常に重要です。また、急激なふらつきにより、歩行が難しくなる時もあります。このため、自動車の運転や高所作業をする場合は気を付ける必要があります。
これらの症状が急に出て苦しくなった場合や、症状が持続する場合はブドウ糖を取りましょう。それでも症状が改善しないときは、速やかに医師に相談してください。
めったに起きませんが、肝機能障害が見られるケースがあります。
このような症状がひどい場合や、継続する場合はすぐに医師に症状を伝え、早期の対応を心がけましょう。
α-グルコシダーゼ阻害薬を食前に服用すると、急激な血糖値の上昇を防ぐことができます。大変便利な薬ですが、副作用や、ほかの薬との併用を避けるといった注意すべき点もあります。自己判断による服用や断薬は避け、医師と相談しながら血糖値をコントロールしましょう。