記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/5/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
スイッチOTC医薬品とは、もともと医師の処方箋がないと入手できなかった薬です。薬局やドラッグストアでも購入できるようになったため、医療費の高騰を抑えたり、医師の負担を軽減することなどが期待されています。この記事では、スイッチOTC医薬品を紹介するとともに、使用する際の注意点を紹介します。
スイッチOTC医薬品の「OTC」とは、英語の over-the-counter(カウンター越し)の略語です。つまり、OTC医薬品は医師の診断がなくとも、お店のカウンター越しに購入できる一般用医薬品のことです。これまで「医薬品」や「大衆薬」と呼ばれていましたが、最近では国際的表現の「OTC医薬品」という呼び方が使われています。
そして、医療用医薬品(医師の処方箋がないと入手できない薬)に使われていた成分が、有効性・安全性に問題がないと判断されてOTC医薬品に切り替わった薬のことを「スイッチOTC医薬品」と呼んでいます。
スイッチOTC医薬品が生まれた背景として、セルフメディケーション(自己管理で健康を保つこと)を推進する国の方針があります。
医療費の高騰や医師不足による問題を解決するための第一歩として、軽度の体調不良は病院に行かなくても市販の医薬品を有効活用して改善することが推進されています。このため、国は医師の処方箋がなくても入手できる医薬品を増やすべく、「長期間における使用実績がある」「副作用が比較的少なく、他の薬剤との相互作用でも重篤な副作用がない」「国民からの需要があること」といった基準を満たしたものをスイッチOTC医薬品として入手しやすくしています。
ただし、スイッチOTC医薬品になったものでも、リスクが高いものは「要指導医薬品」として、薬剤師から対面で指導を受けたり、文書での情報提供を受けたりしないと購入できないものもあります。それ以外の医薬品は、一般用医薬品に分類されます。
一般的になじみ部会スイッチOTC医薬品として、解熱鎮痛剤のイブプロフェン、消炎剤のインドメタシン、生理痛用薬のイブプロフェンなどがあります。そのほか、胃酸分泌抑制薬のガスター®︎10や、解熱鎮痛薬のロキソニン®︎S、肝斑治療薬のトランシーノ®︎薬用ホワイトニングエッセンスなどの内服薬、消炎鎮痛薬のボルタレン®︎AC/ローション/テープ、抗ウィルス薬のアラセナ®︎Sといった外用薬もOTC医薬品です。
現在、スイッチOTC医薬品として認可されている医薬品は85成分、1718品目あります(2019年1月31日時点)。厚生労働省のホームページで定期的に更新しているので、最新情報はホームページで確認できます。
スイッチOTC医薬品で使われている成分は「医療用医薬品」と同じものです。そのため、薬の副作用やほかの薬との飲み合わせの注意点など、薬剤師の説明をしっかり聞くことが大切です。
もし、現時点でほかに服用している薬があったり、持病やアレルギーなどがある場合は、説明を受ける際に薬剤師に伝えて適切なアドバイスを受けましょう。また、2~3日飲んでも症状が改善しない場合は医療機関を受診するようにしてください。
スイッチOTC医薬品は、医師の処方がないと手に入らなかった「医療用医薬品」だったものが薬局やドラッグストアでも購入できるように転換された薬のことです。病院に行かなくても症状を緩和できるように導入されたものですが、中には副作用や飲み合わせに気をつけたほうがよいものもあります。購入時は薬剤師の説明をしっかり聞き、用法・用量を守って正しく利用しましょう。