嚥下障害になるとどんな症状が出てくる?脱水しやすくなるって本当?
2019/7/17
「最近、食べ物を飲み込みづらくなった」と感じたら、嚥下障害のおそれがあります。特に高齢の方は嚥下障害を発症しやすく、さまざまな不調を伴います。この記事では、嚥下障害でみられる症状やおすすめしたい予防法などを紹介します。
嚥下障害とは
食べ物の栄養を体内に吸収するために、食べ物を口に入れる、噛む、飲み込む、という動作が行われています。それらの動作のうち「飲み込む」動作のことを嚥下(えんげ)といいます。嚥下は口腔期、咽頭期、食道期の3つに分けられます。
- 口腔期
- 舌の動きによって口の中から喉へ食べ物を送り出す
- 咽頭期
- 喉から食道へ食べ物を送り出す
- 食道期
- 食道の蠕動運動によって、食べ物を胃へ送り出す
嚥下がスムーズに行われなくなることを嚥下障害といいます。嚥下障害が起こると、食べ物の消化吸収に影響を与えます。気道に食べ物が流入する誤嚥(ごえん)が発生し、誤嚥性肺炎を引き起こすこともあります。
- 誤嚥性肺炎とは
- 食べ物や水分が食道に送られずに喉に送られ、気管や肺に入った場合、細菌が肺に侵入して肺炎を引き起こす誤嚥性肺炎を招くおそれがあります。特に高齢の方に発症しやすい傾向がみられます。
嚥下障害になるとみられる症状は?
嚥下障害ではどのような症状があらわれるかを以下にご紹介します。
嚥下障害チェック
- 固形物を飲み込みづらい
- 食べ物が喉につかえる
- 飲みこんでも口の中に食べ物が残る
- 食事に時間がかかる
- 食べ物が口からこぼれる
- 食事で疲れる
- 食事中にむせる
- 食事中や食後に咳が出る
- 食事をすると声がガラガラになる
- 食後にたんが出る
- 夜に咳が出る
- 口腔内の汚れが強く口臭が気になる
嚥下障害が進むと脱水状態になる?
嚥下障害で食事量が低下すると食事から摂取する水分量が低下するため、脱水症状に陥る可能性が高くなります。
また、年齢を重ねると咽喉頭の位置や喉の筋力が低下します。加齢によって嚥下障害が起こると、水の誤嚥が多くみられます。誤嚥は人によっては非常に苦しく、窒息を招くこともあります。そのため、水の誤嚥を経験したあと、水を飲むことに不安や違和感を抱く方も少なくありません。しかし、水分摂取量が少ないと脱水症状を引き起こす恐れがあるため、少しずつでも飲むことが大切です。
以下に、脱水状態以外に嚥下障害が引き起こす症状を紹介します。
- 窒息
- 食べ物や飲み物で気道が閉鎖され、呼吸困難に陥ります。意識障害や命に関わる場合があります
- 栄養不足
- 食事内容が飲みこみやすいものに偏ることで、栄養バランスが崩れます
- 食欲減退
- 食事が苦痛に感じられ、食事の摂取が減少することがあります
嚥下障害を予防するには?
喉の筋力低下などによって起こる嚥下障害は、トレーニングで改善できる場合も多いです。日常生活にトレーニングを取り入れて予防しましょう。
- 呼吸トレーニング
- 深くゆっくりと息を吸って吐きます。腹式呼吸を意識して、吐くときはお腹をへこませます。呼吸機能が高くなると、気管に食べ物をが入ってしまった場合に排出しやすくなります。食前にゆっくりと腹式呼吸をするのがおすすめです
- 発音トレーニング
- 嚥下で使用する口や舌、喉の筋肉を鍛えます。パ行、ラ行、タ行、マ行を一音ずつしっかりと発声しましょう
- 首、口、舌の緊張ほぐし
-
- 首 肩の力を抜き、首を前後左右にゆっくりと動かし、首筋を伸ばします
- 口 頬を膨らませる、へこませるを繰り返します
- 舌 口から舌を出して前に出す、舌を引っ込めるを繰り返します
食事の注意点
食事のとり方も見直しましょう。早食いなどは嚥下障害を引き起こすおそれがあります。
- 急がないでゆっくり食べる
- 口の中に多く食べ物を入れ過ぎない
- 少量を口に入れてよく噛む
- 噛み切りにくいものは小さく切って食べる
- 姿勢を整えて、喉の負担を小さくする
- テレビを観ながらなど「ながら食べ」をやめる
おわりに:食事中の疲れや異変を感じたら嚥下障害チェックで確認しましょう
嚥下障害が悪化すると、重大な病気や命の危険を招くおそれがあります。食事をしていると飲み込みにくくて疲れたり、咳が出るなどの異変がみられたら嚥下障害を起こしていないかチェックをし、トレーニングなど予防方法を取り入れましょう。