記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/7/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ビタミンDは、私たちの体を健康に保つために必要なビタミンの一種です。今回は、ビタミンDが不足することで生じる体への影響などをご紹介します。
骨は成長期だけでなく、大人になってからも約3年のサイクルで新しく作られています。骨は他の細胞と同様に、骨芽細胞によって新しい骨がつくられる「骨形成」と、破骨細胞によって古い骨が壊される「骨吸収」を常に新しく生まれ変わっています。この繰り返しによって、骨は一定のしなやかさと強さを保っています。
ビタミンDは、古い骨を壊す破骨細胞が骨に近づかないようはたらきかけ、骨が破壊されるのを防ぐ役割があることが明らかになっています。また、骨の主成分であるカルシウムは、食べ物から摂取したうちの20~30%程度しか体内に残らないといわれています。しかし、ビタミンDを同時に摂ることで小腸の細胞膜にカルシウムが取り込まれやすくなり、その吸収率が上がることが知られています。他にもビタミンDは体内に侵入したウイルスや細菌と闘う、筋肉を動かすなどのはたらきもしています。
日光を十分に浴びない、または何らかの病気によりビタミンDが欠乏することで「ビタミンD欠乏症」を生じ、筋肉や骨が弱くなるといわれています。また、ビタミンDの不足によってカルシウムの体内への吸収率も下がるため、「低カルシウム血症」を引き起こす場合もあります。
小児の場合、骨の成長障害、足の骨が曲がる、姿勢が悪くなることなどもあります。また、妊婦や授乳中の方は、骨がやわらかくなる骨軟化症になることがあります。そして、肥満傾向にある方や高齢者、更年期以降の女性も特に注意が必要です。更年期を迎えて閉経すると、女性ホルモンの分泌が減少して骨粗しょう症になる恐れがあります。骨粗しょう症で骨が弱くなった場合、骨折しやすくなる、寝たきりになりやすくなるなどの要介護につながる可能性もあります。
ビタミンDを体内に摂り入れる方法は、主に以下の2通りあります。
ビタミンは、魚類やきのこ類から摂ることができます。穀物やイモ類、野菜などにはあまりビタミンDが含まれていないので注意しましょう。ビタミンDを多く含む食べ物として、主に以下のようなものが挙げられます。
人の皮下脂肪には、コレステロールの一種が含まれています。このコレステロールに日光が当たると、化学反応によってビタミンDが体内につくられます。また、食べ物から摂取するビタミンDの量よりも、日光浴によって得られるビタミンDの量の方が多いことが知られています。冬は日照時間が短いため、約1時間、夏であれば木陰などで30分程度外で過ごすように心がけましょう。
ビタミンDが不足すると、骨がやわらかくなる骨軟化症や、高齢になると骨粗しょう症になるリスクが高くなります。食べ物や日光浴で、十分なビタミンDを体内に摂り入れましょう。