記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
風邪が流行る季節などは特に、日常的に「免疫」という言葉をよく見聞きしますよね。でも、免疫がそもそもどのような機能・仕組みなのか、理解している人は少ないのではないでしょうか。今回は免疫とは何か、免疫を利用した医療行為とあわせて改めて理解していきましょう。
免疫とは「疫」、つまり「病気」から免れるための体の仕組み全般を指す言葉です。人間の体の免疫には、大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。
自然免疫は、私たちが自分の体を守るためにある程度保有している免疫機能であり、ある程度の記憶機能を使い体を防衛するための戦いをしてくれています。
一方、獲得免疫は、過去に特定の病気を獲得し戦った経験から発生する免疫であるため、経験から獲得する免疫機能というイメージです。過去に経験した感染症などに2度以上かからなくなって「免疫がついた」状態となるのは、獲得免疫の機能によるものです。
免疫は、以下のような免疫細胞と呼ばれる細胞の働きによって成り立っています。
上記のような免疫細胞は、体のいたるところで侵入した病原体や異常細胞と戦っています。また、小腸に20~30か所あると言われる「バイエル板」というリンパ組織では、外敵や異常細胞に対し集団攻撃を仕掛けることもあります。
免疫は、外から侵入するウイルスや病原菌・寄生虫に対し自然免疫・獲得免疫として反応するだけでなく、体内で発生する異常細胞に対しても働き体を守っているのです。
前述した免疫のうち、「獲得免疫」を利用した代表的な医療行為が予防接種ワクチンです。
ワクチンの仕組みは、あえて作用を弱めた病原菌を体に注射することで人工的に獲得免疫の反応を起こし、感染症を予防する、というものです。作用を弱めているとはいえ、人によっては副反応として発熱などが起こることもあります。しかし、実際に発病しているわけではないので感染症になるよりも重症化しにくく、周囲に伝染させてしまうリスクもありません。
ワクチンは、感染症と戦う人類が自らの体の仕組みを利用して作り出した、対抗策なのです。
免疫とは、体の外から侵入したウイルス・細菌・寄生虫などの病原体や、体内で発生したがんなどの異常細胞を戦い、駆逐して体を守る仕組みのことです。異物や侵入物に対して、まずはNK細胞やマクロファージなどが自然免疫を起こし、次にT細胞やB細胞が獲得免疫を起こして、体が病気にならないよう体のいたるところで常に戦っています。予防接種ワクチンは、人体が持つ獲得免疫の働きを利用することで感染症を防ぐ目的があります。