記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/8/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
家庭菜園で作った野菜は自分で品質を管理できることもあり、安心して食べることができます。ただ、ときには家庭菜園で育てた野菜に毒性が発生するケースがあるのです。この記事では、家庭菜園で作った野菜が毒性を持つケースについて、毒性を持ちやすい野菜の種類や、毒性を除去するためのポイントと一緒に解説していきます。
家庭菜園で作る場合、まず毒性を持ちやすい野菜として挙げられるのがジャガイモです。ジャガイモの芽とその根元、そして皮の部分には、もともとソラニンやチャコニンといった毒性成分が含まれています。
また、小さ過ぎるジャガイモや、皮が緑色になったジャガイモには、毒性成分を多く含んでいることがあります。そのまま食べると食中毒を起こす可能性がありますので、芽や皮を実の色になるまで丁寧に取り除くか、小さすぎるものは食べないようにしましょう。
トマトとナスの実以外の部分には、それぞれ以下のような毒が含まれています。
トマトに含まれているトマチンは、大量に食べると中毒症状を引き起こします(大量に摂取しなければ、重大な危険はありません)。トマトのヘタや葉は取り除き、実だけを食べるようにすれば問題ないでしょう。
また、ナスに含まれるソラニンには、土中で周囲の植物・野菜の根と結合して毒性を吸収させ、他の野菜にも毒性を与えてしまう場合があります。ナスを育てるときは、周囲の野菜への影響を避けるため、植える間隔を広くするなど育て方を工夫するとともに、葉や茎は絶対に食べないようにしてください。
夏野菜であり、健康効果が高いとして知られるモロヘイヤにも、心臓収縮の強化やめまい、動悸などを引き起こすストロファンチジンという毒性成分があります。
ただし、モロヘイヤの毒性成分は、種子とそのさや、そして発芽から成熟するまでの若葉にのみ含まれているものです。このため、種子とそのさやに触れず、食べるタイミングさえ間違えなければ基本的には問題ありません。モロヘイヤを育てるときは、十分に育ち花が咲く前のタイミングを狙って収穫するとともに、花や種子・種子のさやは絶対に口にしないてください。
自宅での梅酒や梅干し、梅シロップづくりに使われる青梅にもアミグダリンという青酸系の毒性があります。アミグダリンは呼吸困難などの中毒症状を引き起こしますが、青梅に含まれているのは微量であるため、1~2個食べたくらいでは体に害はないとされています。ただ、毒性があることは事実なので、青梅を生で食べるのは避けましょう。
また、青梅の毒性は収穫後間もない頃にのみ存在するものです。長時間乾燥させて梅干しにしたり、砂糖やアルコールに漬け込むなどして加工することで毒性が分解され、問題なく食べられるようになります。
ジャガイモやトマト、ナスなど、家庭菜園で作られる野菜の中には、育て方や収穫時期、食べ方によって毒性を持ってしまうものもあります。こうした毒性のある野菜は、毒のある部分を除去したり、毒性を帯びないタイミングや調理法を選ぶことで除去することが可能です。家庭菜園の野菜に起こり得る毒性について正しく理解し、食中毒から身を守りましょう。