胃潰瘍・十二指腸潰瘍

2017/9/14

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

概要

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃液が過剰であったり、ピロリ菌などが原因で炎症が起きて、痛みが起こる病気です。

症状

みぞおちの辺りに痛みを感じます。人によりますが、胃潰瘍は食後に痛みを感じることが多く、十二指腸潰瘍では空腹時に痛みを感じる事が多いです。その他に下記のような症状も現れます。
・吐き気、嘔吐
・食欲低下

胃潰瘍、十二指腸潰瘍が悪化して出血した場合には、
・血を吐く
・血便(便が黒くなったり、赤くなったりする)
・貧血
といった症状があらわれます。

さらに悪化すると、胃や十二指腸潰瘍に穴があき、重篤な状態になることもあります。

原因

胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こす原因は、主にピロリ菌の感染によるものです。ロキソニン®やボルタレン®などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛薬)を長い間飲んでいると、胃潰瘍・十二指腸潰瘍をよく引き起こします。NSAIDs潰瘍とも呼ばれます。特に骨折や膝の痛みなどで毎日ロキソニン®を飲んでいる人、高齢者は要注意です。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因として、他には喫煙やストレスが関係しています。

診断

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、問診や身体の診察である程度診断できます。しかし本当に胃潰瘍・十二指腸潰瘍があるのか、腹痛の原因なのか、ということを調べるには、胃カメラ(内視鏡検査)が必要となります。

また胃潰瘍・十二指腸潰瘍があった場合、ピロリ菌に感染しているか調べることが重要です。ピロリ菌の感染を調べるためには、胃カメラのときに組織を採取して調べたり、血液検査や尿検査が行われたりします。

治療

まず原因となる解熱鎮痛薬(NSAIDs)を飲んでいる場合は、すぐに中止してください。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療ではH2ブロッカー(ガスター®)やPPI(プロトンポンプ阻害薬:タケプロン®、ネキシウム®、パリエット®など)が処方されます。PPIの方が治療効果が強いです。

ピロリ菌に感染している場合は、今後胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発を防ぐために、ピロリ菌の除菌が大切です。ピロリ菌の除菌に有効な抗生剤・胃薬を7日間飲みます。その後本当にピロリ菌を除菌できたか、検査をします。ピロリ菌を除菌できていなかった場合は、再度飲み薬による治療を行います。

 

予防

胃潰瘍・十二指腸潰瘍を予防するためには、下記のようなことができます。

・ピロリ菌の除菌
・解熱鎮痛薬(NSAIDs)を長く飲みすぎない
・禁煙する
・ストレスを解消する

関連知識

消化性潰瘍になってからの日常生活

ほとんどの場合、数週間で治癒しますが、再発の可能性があるのでリスクを減らすよう注意しなければなりません。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍を繰り返す場合は、ピロリ菌の検査を受けてください。また自分で禁煙できない場合は、禁煙方法について医師に相談してください。
解熱鎮痛薬(NSAIDs)を長く飲み続けるのは避けましょう。胃潰瘍・十二指腸潰瘍を起こしにくい解熱鎮痛薬もありますので、医師に相談してみてください。

医師に相談するための質問

・潰瘍の原因は何ですか?
・ピロリ菌の検査はした方が良いですか?
・服用している薬の副作用は何ですか?
・潰瘍の治療にはどのくらい時間がかかりますか?
・今飲んでいる解熱鎮痛薬(NSAIDs)の代わりに、どんな薬を使ったらいいですか?

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