記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
2017/10/17
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
副鼻腔とは頬~鼻~眉間の奥にある空洞で、鼻腔とつながっています。副鼻腔炎では、風邪や咽頭炎、扁桃炎をきっかけにして副鼻腔にウイルスや細菌が入り込み、副鼻腔に炎症がおき、黄色~緑色の鼻水、鼻づまりなどの症状があらわれます。これが急性副鼻腔炎です。
副鼻腔内の炎症が長引くと、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)になり、鼻づまり、のどへの鼻水の垂れ込み、咳などの症状が長引きます。
鼻水がのどに垂れ込むことを「後鼻漏」と言うのですが、咳で困って受診する人の中には、後鼻漏・副鼻腔炎が原因のこともあります。副鼻腔炎の治療をすると良くなります。
副鼻腔炎では黄色~緑色の鼻水、鼻づまりが起きます。鼻腔、副鼻腔はのどとつながっているので、鼻水がのどに垂れ込み、咳・痰を引き起こします。他の症状として、熱、だるさ、鼻の周囲~頭の痛みや重さといったものがあります。
また慢性副鼻腔炎では、嗅覚が低下し、匂いを感じとりにくくなります。
副鼻腔炎では頭部のレントゲンやCTで副鼻腔内の膿や炎症を確認することができます。症状だけで診断できることも多いため、必ずしもレントゲンやCTは必要としません。
風邪の後に起こる急性副鼻腔炎の多くはウイルス性で、症状も軽く、治療を必要とせずに治ります。細菌性の場合は抗菌薬の治療が必要となります。
症状を和らげるためには、副鼻腔にたまった膿を出やすくする内服薬(ムコダイン®やムコソルバン®)、鼻水の量を減らす内服薬(抗ヒスタミン薬としてアレグラ®など)、炎症をおさえ鼻水を減らすための点鼻薬(ナゾネックス点鼻液®やアラミスト点鼻液®)が使われます。
耳鼻科では、鼻の洗浄や鼻水の吸引、鼻からの吸入(ネブライザー)も行われます。
慢性副鼻腔炎の場合は、より長期に渡って治療が行われます。マクロライド系と呼ばれる抗菌薬(クラリス®など)を2~3ヶ月使うことで、治る人が多いです。この治療でも改善しない人、特に鼻たけ(鼻の中のポリープ)や鼻中隔湾曲症、気管支喘息を伴う場合は、耳鼻科で内視鏡を使った手術が行われます。
急性副鼻腔炎はウイルス性のことが多く、自然に治ります。しかし一度良くなりかけてぶり返した場合や、粘り気の強い黄色~緑色の鼻水が多いときは治療が必要なことが多いので、受診してください。
急性副鼻腔炎で抗菌薬を始めると、1週間程度で改善します。5日間以上経っても改善しない場合は、抗菌薬が効いていない可能性があります。抗菌薬を変更して治療したほうが良いので、再受診をおすすめします。