高血圧

概要

高血圧とは、血圧が正常値より高い状態が続いている状態を指します。正常値は収縮期血圧が140mmHg、拡張期血圧が90mmHgなので、いずれかを超えている場合に高血圧が疑われます。

高血圧の多くは、塩分の摂り過ぎや運動不足、加齢によって引き起こされるものです。しかし中には、何か原因の病気があって高血圧になっていることもあり、「二次性高血圧」と呼ばれます。二次性高血圧の原因としては、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群などがあります。

高血圧で症状が出ることはほとんどないのですが、高血圧の状態が続くと動脈硬化が進み、やがて脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などの病気を引き起こします。そのため高血圧の人は、生活習慣を変えたり、血圧を下げる薬を飲んだりしているのです。また高血圧に加えて脂質異常症や糖尿病を抱えている人は、将来脳や心臓の病気が起きる確率がさらに高まります。

軽い高血圧であれば食事の塩分を減らしたり、適度な運動をしたりすることによって、改善します。生活習慣の改善をして、脳や心臓の重い病気にならないように予防しましょう。

症状

高血圧によって直接症状が引き起こされることはほとんどありません。

こまめに血圧を測っている真面目な方が、「突然収縮期血圧が160mmHgになった」と驚いて受診されることもあります。確かに突然血圧が高くなると不安だと思いますが、特に新しい症状が出現していなければ、問題ありません。

稀に悪性高血圧といって、突然高くなった血圧が原因で腎臓や目・脳がダメージを受けることがあります。収縮期血圧は200mmHgを超えることもあります。頭痛やめまい、吐き気などの症状があり、血圧も高くなっている場合は、何かしらの病気が原因の可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。

診断

血圧は1日の中でもかなり変化するため、一度血圧を測って高くても、すぐに高血圧と診断されるわけではありません。違う日も含めて何回か測定し、やはり正常値を超える場合は、高血圧と診断されます。

また医療機関や健康診断で血圧を測ると、普段よりも血圧が高いことが多いです。そういった場面では血圧を測るときに緊張してしまうからです。病院で緊張した状態で測る血圧のことを「白衣高血圧」とも呼ばれます。一方で家で測る血圧を「家庭血圧」と言います。家庭血圧の方が血圧の値としては参考になります。高血圧が疑われる方、高血圧で治療中の方は、血圧測定器を購入して、自宅で血圧を測り記録をとるようにしてください。

高血圧と診断された方は、糖尿病や脂質異常症などの他の生活習慣病がないか調べるために、血液検査が行われることが多いです。高血圧以外の症状があったり、降圧薬を飲み始めても血圧があまり下がらないようなときは、二次性高血圧が疑われます。血液検査も含めて、原因を調べるために他の検査が行われます。

治療

まずは生活習慣を改善することが大切です。食事の塩分を減らし、適度な運動をするだけで血圧は下がります。

生活習慣の改善だけでは血圧が下がらない場合は、降圧薬という飲み薬が使われます。降圧薬にも色々と種類があるのですが、本人の他の病気や状態に合わせて薬が選ばれます。1種類で十分下がらない場合は、2種類め、3種類めを追加します。

個人によってちょうど良い血圧の値も異なります。通常は135/85mmHg（収縮期血圧/拡張期血圧）を目指しますが、糖尿病や腎臓が悪い方は125/75mmHgを目指します。血圧が下がりすぎるとふらふらしてしまう人もいるので、医師と相談しながら治療を進めてください。

高血圧に加えて糖尿病や脂質異常症などの病気があると、将来脳出血や脳梗塞、心筋梗塞になるリスクがさらに高まります。それらの病気の治療もしっかりと行いましょう。

生活・自宅で気をつけること

・生活習慣の改善がとても大切です。塩分は1日6g以下が推奨されます。肥満の方は減量が大切です。適度な運動もしましょう。他に禁煙することや、アルコールを飲みすぎないことも大切です。

・血圧は1日の中でもよく変動します。また人によって、朝に血圧が高い「早朝高血圧」の人もいれば、夜に血圧が高い「夜間高血圧」の人もいます。理想的には毎日血圧を測って、傾向を見るのが大切です。

・肥満の人は睡眠時無呼吸症候群になりやすいです。睡眠時無呼吸症候群は高血圧を引き起こし、また他の病気のリスクでもあることが知られています。いびきや睡眠中に呼吸が止まることを指摘された人は、注意しましょう。睡眠時無呼吸症候群は、睡眠ポリグラフィーという検査が行われます。