尿路感染症

2017/3/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士 呼吸器内科専門医

山本 康博 先生

概要

尿路感染症(UTI)は、尿路からの感染症です。

症状

尿路感染症の兆候は以下のとおりです。

・排尿するときの痛み
・いつもよりも頻繁に尿意を感じる
・尿意を感じるが尿が出ない
・ちょっとした尿漏れ
・尿が濁る、黒い、においがする、血が混じっている

子どもの場合は、上記に加えて以下のような症状も含まれます。
・熱
・下痢
・嘔吐
・苛立ちや怒り
・胃痛
・背中の痛み
・トイレの練習をしているのにおもらしをする

原因

尿路感染症は、尿路に入る細菌によって引き起こされます。腎臓、尿管、膀胱および尿道のどの部分も感染しますが、膀胱や尿道への感染症が最も一般的です。

診断

通常、身体検査と症状の説明によって痛みの原因を判断します。尿検査は、感染の種類を特定するのに有効です。

治療

健康な成人であれば、抗生物質で尿路感染症を治療できます。妊娠している女性には、赤ちゃんに安全な薬が処方されます。

通常、薬の服用を開始してから1~2日後に感染の症状が消えます。気分が良くなっても、薬を飲まなくなると効果が低下することがあるため、医師の指示に従うことが重要です。

治療がうまくいかない場合、症状は変わらず、悪化するか新しい症状が現れるでしょう。
下記の症状が出た場合は、医師に相談してください。

・発熱(38度以上)
・悪寒
・腹痛
・吐き気
・嘔吐
・薬を服用して3日経っても、排尿時にまだ痛みがある
・(妊娠中)陣痛がある

予防

・多量の水を飲んで細菌を洗い流す
クランベリージュースを飲むことも、尿路感染症の予防に効果的です。ただし、ワルファリンを服用している場合は、医師に確認してください。

・尿を我慢しない
子どもには、毎日何回かトイレに行くように教えてください。

・便通後、前から後ろに拭く
子どもにも正しい拭き方を教えてください。

・セックス後には尿を出して細菌を洗い流す

・セックスの際に乾燥している場合は、少量の潤滑剤を使用する

・(尿路感染症が頻発する場合)ペッサリーの使用を控える
ほかの避妊薬について医師に相談してください。

・入浴剤を使用しない

・ルーズフィットの服(パンツを含む)を着用し、子どもにぴったりの服を着せる

・(男性の場合)包茎の場合は、包皮を定期的に洗う
子どもが包茎の場合は、包皮を洗う方法を教えてあげてください。

合併症

尿路感染症が原因で腎臓に深刻な症状が出ることはある?

はい、尿路感染症が腎臓にダメージを与えることがあります。尿路感染症であると感じたらすぐに治療を受けることが重要です。

妊娠中に現れる影響は?

尿路感染症が治療されていない場合、腎臓感染につながる可能性があり、腎臓感染によって早期陣痛を引き起こす可能性があります。しかし、尿路感染症を早期に治療していれば、赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはありません。

関連知識

女性は男性よりも尿路感染症になりやすいのはなぜ?

女性の尿道は直腸の近くに位置しているため、細菌が尿道に移動して感染を引き起こす可能性があります。また、セックスにより細菌が尿道に押し込められるため尿路感染を引き起こす可能性もあります。膣内細菌の変化で頻繁な尿路感染が引き起こされる可能性もあります。

抗菌性膣洗浄器や殺精子剤および特定の経口抗生物質によって、尿路感染が引き起こされることもあります。できる限り使用は控えましょう。

その他の痛みを伴う排尿の原因は?

尿路感染症ではなくても痛みを伴う排尿が起こる場合があります。癌化学療法で使用される薬物などは、膀胱に炎症を起こす可能性があります。
また、排尿の痛みは膣感染や刺激によっても引き起こされます。これは膣潤滑剤、石けんなどの化学物質に敏感な人に起こります。

医師の診察を受けるべき?

はい、受けるべきです。痛みを伴う排尿は、より深刻な症状になる可能性があります。症状と期間を医師に伝えてください。

糖尿病やエイズのような病気の場合は、医師に相談してください。また、尿路の異常や妊娠の可能性がある場合、尿路に手術を受けたことがある場合、または1ヵ月以内に入院したり養護施設に滞在していたりした場合も、医師に相談してください。

医師に相談するための質問

・尿検査などの検査が必要ですか?
・尿路感染症の原因は何ですか?
・薬が必要ですか?どのように使えばいいですか?
・薬の副作用は何か?
・症状はいつ治まりますか?
・どのような症状で感染が悪化しているかわかりますか?これらが発生した場合はどうすればいいですか?
・尿路感染症によくかかります。予防のために何ができますか?
・予防的抗生物質が必要ですか?抗生物質の耐性に懸念すべきですか?
・子どもが尿路感染症に頻繁にかかります。解剖学的な問題が原因ですか?

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