記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/3/22
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)は、呼吸が苦しくなる肺疾患です。COPDには、主に慢性気管支炎と肺気腫の2つの病気が含まれています。COPDを罹患しているほとんどの人は、これら両方の状態を有しています。
肺には気管支(気道とも呼ばれる)と肺胞の2つの主要な部位があります。呼吸すると、空気は気管から気管支を通して肺胞に移動します。肺胞からは酸素が血中に入り、二酸化炭素は血中から抜け出します。
慢性気管支炎の場合、気管支の内層は赤く腫れて粘液で満たされます。この粘液が気道を塞ぎ、呼吸困難になります。
肺気腫の人は肺胞が壊されています。このため、血液の中に酸素を取り込み、二酸化炭素を排出しづらくなります。また、息が吐きづらくなります。
COPDは、以下を含む様々な症状を引き起こす可能性があります。
・慢性(持続性)咳嗽
・粘液を産生する咳
・呼吸器感染症(インフルエンザや風邪など)の増加
・息切れ(特に体を動かした時)
・胸の圧迫感
・喘鳴(ぜんめい)
最初は症状がみられないか、軽度の症状しかないかもしれません。しかし、COPDは進行性疾患のため、症状はゆっくり出始めて時間の経過とともに悪化し、その後長期にわたって症状が続きます。最終的に、症状は身体活動や生活に影響を及ぼします。
COPDは肺の損傷によって引き起こされます。肺の損傷は、通常、長期にわたり刺激物を定期的に吸い込んだ場合に発生します。この刺激物には以下のようなものがあります。
・大気汚染
・化学煙、ガス、蒸気またはミスト
・たばこの煙(受動喫煙を含む)
・ほこり
COPDの主な要因は喫煙です。症例の約80%~90%は長期間の喫煙によって引き起こされます。 COPDの予防または悪化を防ぐ方法は、喫煙をやめることです。
一方、作業中に化学物質やほこりにさらされている労働者もCOPDを発症するリスクがあります。その労働者が喫煙していると同時にほかの刺激物にもさらされている場合、COPDを発症するリスクがさらに高まります。
COPDの症状があった場合は、医師に相談してください。 医師は、喫煙しているか、あるいは長期間にわたって過剰な量の塵、煙、ガス、蒸気、霧などにさらされていないかを尋ねます。
呼吸機能検査を受けることもあります。これは肺がどれくらい機能しているかを見るための特別な検査です。X線はCOPDの兆候を示すことがあるため、胸部X線撮影も行われます。血液検査または痰を分析する特別な検査を受診する場合もあります。
COPDを完治させることはできませんが、気分を良くし、症状をコントロールし、合併症のリスクを軽減する目的で治療を行うことはできます。治療の種類は以下のとおりです。
COPDを持っている喫煙者の場合、最も重要なことは喫煙をやめることです。これは肺へのダメージを止めるか遅らせるのに役立ち、症状が悪化するのを防ぐ唯一の方法です。 喫煙をやめる方法については、医師に相談してください。 喫煙をやめると、長生きにつながり、より健康になります。
気分を良くし、呼吸を助けるために医師はいくつかの薬を処方するかもしれません。 これらの医薬品には、以下のものがあります。
<抗生物質>
症状を悪化させる細菌性呼吸器感染症の治療に役立ちます。
<気管支拡張薬>
気道の周りの筋肉を弛緩させ、呼吸を楽にさせます。
<ステロイド>
呼吸を楽にする効果がありますが、より重度のCOPDを有する人にのみ使用されます。
インフルエンザや肺炎などの特定の呼吸器感染症の予防に役立ちます。 これらの感染症は、症状を悪化させたり、肺の損傷を増やす可能性があります。ワクチン接種の時期と頻度については、医師に相談してください。
進行したCOPDの人には、酸素を使用する必要があります。鼻の中に入れたチューブや、口や鼻の上にかぶせるマスクを通して酸素を吸います。
専門家によるリハビリテーションプログラムは、病気について学び、カウンセリングを受け、必要に応じて運動や食事プランを作成し、病気を管理するのに役立ちます。
まれに、非常に重篤なCOPD患者は手術が有効な場合があります。肺の縮小手術や、肺移植を受けることがあります。これらの外科手術は、ほかの治療法がうまくいかない人のみを対象に行われます。
吸入薬を服用するには、小型の携帯用吸入器を使用するか、ネブライザーを使用して一定量の薬物を肺に送る方法があります。 ネブライザーは、液体の薬を吸い込める蒸気に変えるもので、より重症のCOPDを有する人々を治療するためによく使用されます。 また、携帯用吸入器の使用に問題がある人にも役立ちます。
薬の服用方法については、肺が適切な量の薬を受け取れるように、医師の指示に従うことが重要です。
COPD患者には、以下のような合併症のリスクがあります。
COPDは不規則な心拍(不整脈と呼ばれる)と心不全を引き起こす可能性があります。
COPDでは、肺に血液を運ぶ血管の血圧が高くなることがあります。これは肺高血圧と呼ばれています。
風邪、インフルエンザ、さらには肺炎を起こす可能性が高くなります。これらの感染症は、症状を悪化させたり、肺の損傷を増やしたりする可能性があります。毎年インフルエンザのワクチンを接種し、肺炎ワクチンが必要かどうかについては医師に相談してください。すでにこれらの接種を受けている場合は、インフルエンザや肺炎を起こす可能性は低いです。
・喫煙歴はありません。なぜCOPDになったのですか?
・たばこを止めることで本当に良くなりますか?どうすれば禁煙を始めることができますか?
・症状を軽減するために、普段の生活をどのように変えればいいですか?
・どのような治療法が最適ですか?酸素が必要ですか?
・COPDに関連する健康リスクは何ですか?
・ワクチンが必要ですか?
・運動を行うリスクはありますか?どのような運動ができますか?
・症状は悪化しますか?