骨肉腫

2017/3/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

概要

骨肉腫(こつにくしゅ)は、特に思春期の子どもに影響を及ぼす骨のがんの一種で、「悪性骨形成性腫瘍」ともいわれます。大腿骨や脛骨または上腕骨から始まり、身体のほかの部分、肺やほかの骨に転移することがあります。

症状

基本的には目にみえる症状はありませんが、腫瘍周囲の骨や関節に鈍い痛みがあります。まれに痛い箇所にしっかりとした腫れや塊がみられることもあります。この腫れは、骨の内部で増殖する腫瘍によって引き起こされます。

腫瘍が脚の骨にある場合は麻痺することがあり、骨肉腫を有する筋肉は、反対の腕または脚の筋肉よりも小さくみえることがあります。また、腫瘍が骨を弱くするため、骨は腫瘍がある部分で破壊されることがあります。

原因

骨肉腫は、10~20歳の思春期や若者に多く発症します。女性よりも男性の発症率が高いです。
骨肉腫は一般的ながんではありませんが、子どもや思春期の中ではよくみられる骨がんです。はっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝が関係しているかもしれないという報告もあります。まれに、放射線治療の結果として骨肉腫を発症することがあります。

診断

健康状態や既往歴などの問診のほか、腫れ、しこり、破裂部位の周りを調べたうえで以下の検査が指示されるでしょう。

・X線検査
医師が指示をする最初の画像検査です。腫瘍があれば、X線画像に写し出されます。

・MRIとCT
核磁気共鳴画像(MRI)や、コンピュータ断層撮影(CT)、またはその両方を行う場合があります。MRIは腫瘍が骨のどこを破壊したか確認する用途で、CTでは胸部と腹部で病気が広がっているかどうかを調べる用途で使います。なお、造影CTでは器官または組織がより明確に写し出されます。

・生検
ほかの悪性腫瘍はX線などの画像検査で確認できますが、生検では針や切開で骨から採取した組織片を顕微鏡下で観察し、腫瘍が骨肉腫であるかどうかを調べることができます。

・その他の検査
腫瘍が肺やほかの臓器に転移しているかどうかを確認するために、ほかの検査をすすめられることがあります。骨スキャンは、腫瘍がほかの骨に転移しているかどうかを確認するのに有効です。

治療

骨肉腫は、化学療法、外科手術、放射線療法の組み合わせで治療されます。

化学療法は腫瘍や転移した腫瘍細胞を殺す薬を使用して、手術前に腫瘍を殺したり、腫瘍を小さくするために行います。
腫瘍を除去するための手術は「患肢(かんし)温存手術」と呼ばれ、腫瘍を成長した骨の領域とともに除去し、手足を切断しなくても済む手術です。手術で欠損した骨の部分には別の部分の骨を取ってきて移植したり、腫瘍用に開発された人工関節を入れたりして再建し、リハビリで関節の機能を取り戻していきます。
ただし最悪の場合は、腫瘍を切除する最善の方法として患肢を切断することもあります。

手術後

手術後は、より多くの化学療法や放射線療法で治療します。化学療法と放射線療法は、手術後に残っている体内の残りのがん細胞を殺すのに効果的です。骨肉腫患者の4人のうち3人は、がんがほかの部分に転移していない場合、完治します。患肢温存手術を受けた腕や脚は、手術後数カ月のリハビリでうまく機能するようになります。

なお、治療が終わっても、以下のことを行う必要があります。
・専門医の診察を数年間定期的に受ける
・定期的に、肺、骨スキャン、X線およびCT検査で、腫瘍が再発・転移していないかを調べる
・定期的に、再建した骨に異常がないかどうかをX線検査で確認する

医師に相談するための質問

・骨肉腫を一度経験すると、再発する可能性が高いですか?
・子どもが骨肉腫といわれました。どうすれば症状を改善できますか?
・手術で足(腕)を失ってしまいますか?
・足を引きずって歩いていますが、腫れはありません。骨肉腫の検査を受けるべきですか?
・骨肉腫の治療が終わった後、どのくらいの頻度で受診すればいいのでしょうか?
・40代ですが、足に腫れがあります。骨肉腫の可能性はありますか?
・手術後どのくらいの期間、リハビリをする必要がありますか?

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