乳幼児の発熱

2017/3/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

概要

まず平熱とは、経口温(子どもの口に体温計を入れて測定したとき)で約37°C、直腸で測定したときには37.5°Cです。多くの医師は、37.5°C以上の経口温または38°C以上の直腸温のときは「発熱」と定義しています。

症状

子どもに次のような症状が出たら、すぐに病院を受診してください。

・嘔吐や下痢
・口の渇き
・耳を引っ張る
・発熱が数日間続く
・泣き声が甲高い
・神経過敏
・食欲不振
・顔が青白い
・重度の頭痛
・皮膚の発疹
・関節の痛みや腫れ
・喉の痛み
・肩凝り
・胃痛
・乳幼児の頭部の腫れ
・呼びかけても答えない
・呼吸障害
・すすり泣き

3ヵ月齢未満の場合

直腸温が38℃以上であればすぐに病院へ行ってください。病気に見えなくても、幼い赤ちゃんは急に症状が悪化する場合があります。

3ヵ月齢から6ヵ月齢まで

気分が悪くなくても、体温が38.8℃以上の場合は病院を受診してください。

6ヵ月以上

発熱が38.8~39.4°Cの場合は、子どもの様子を見守ってください。発熱が2日以上続く場合は、病院を受診してください。
発熱が39℃以上の場合は、子どもの気分が良さそうでも病院を受診してください。

治療

発熱は、体が感染を引き起こす病原菌と闘っている印です。子どもが3ヵ月齢~3歳の間で、低悪性度の発熱(最高38.8°Cまで)の場合や、体温が38.8°Cを上回っている場合、子どもがうずいたり、ぐずったりしていると薬を与えたいと思うかもしれませんが、与えないでください。

子どもが3ヵ月齢以下で直腸温が38°C以上である場合は、すぐに病院に行ってください。発熱は、幼い赤ちゃんに深刻な病気をもたらす可能性があります。

家で看病するときの注意点

・飲み物をたくさん与え、身体を冷やして脱水を防ぐ

・子どもに十分な体液がある場合、子どもが飲みたがらなければ、強制的に飲ませない

・子どもに十分な休息を取らせる

・室温は約21℃〜24℃に保つ

・軽い綿のパジャマを子どもに着せる
服の着すぎは身体の熱を吸収し、子どもの体温を上昇させてしまいます。

・子どもに悪寒がある場合は、毛布を追加する
寒気が止まったら取り外してください。

薬を与えるときの注意点

・医師が指示しない限り、2ヵ月未満の年齢の乳児に薬を与えない

・パッケージラベルをよく読み、正しい量の薬を与えていることを確認する

関連知識

子どもの体温を測るときの注意点

直腸で測定することによって、最も正確な体温を測れます。デジタル温度計を使用し、水銀温度計は使用しないでください(水銀は環境毒素なので危険な可能性があります)。
子どもの体温を測る前に、ぬるま湯の石鹸水の中で温度計をきれいに洗い、冷たい水でよく洗い流してください。

なお、子どもの体温を経口で測定する場合、子どもが温かいまたは冷たい飲食物をとった後は体温の計測を20分以上待ってください。

また、下記の点にも注意してください。
・お風呂に入った直後に子どもの体温を測らない
・体温計を使用している間は絶対に子どもを放置しない
・体温計を使い終わったら、アルコールで拭くか冷たい石鹸水で洗う

<子どもの体温を直腸で測定する場合>
うつ伏せにして膝の上に子どものお腹を置きます。温度計の先端にワセリンのような石油ゼリーを塗り、直腸内に約1cm挿入します。抵抗を感じたら測定を止め、温度計を手放さないでください。音が鳴ったら、取り出してデジタル表示を確認しましょう。

<子どもの体温を口で測定する場合>
子どもの体温を口に入れて測定する場合は、体温計を唇に近づけさせ、先端を舌の裏側の付け根側にあてます。このとき子どもが咬まないように注意してください。音が鳴ったら、デジタル表示を確認しましょう。

発熱したら、どんな薬をどれくらい与えるべき?

2ヵ月未満の乳児には、医師への相談なしに薬を与えないでください。

カロナールなどのアセトアミノフェンは痛みを和らげ、発熱を低下させます。正しい服用量については医師に相談するか、パッケージのラベルを確認してください。正しい投薬量は、子どもの体重と年齢によって異なります。

ロキソニンなどのNSAIDsは、6ヵ月以上の子どもの解熱で使用できるもう1つの薬です。ただ、NSAIDsを与える前に医師に相談して正しい用量を尋ねてください。

アスピリンで子どもの発熱を下げることはできる?

まれに、アスピリンは子どものライ症候群を引き起こす可能性があります。ライ症候群は深刻な病気であり、死に至ることがあります。18歳未満の子どもにはアスピリンを与えないことが望ましいです。

お風呂は子どもの熱を下げるのに効果的?

子どもに入浴前にアセトアミノフェンを与え、ぬるま湯に入れると、発熱を抑えることができます。ただ、薬なしでお風呂に入った場合、体が再び温度を上げようとして震え始めることがあり、症状が悪化するかもしれません。お風呂にはアルコールや冷たい水を絶対に使用しないでください。

医師に相談するための質問

・子どもにも与えて大丈夫な薬はありますか?
・子どもの薬の正しい用量は何ですか?
・子どもの熱が突然上がった場合、救急室に連れていかなければなりませんか?
・子どもの熱が下がらないとき、医師への連絡はどれくらい待つべきですか?
・子どもの体温を測る最も簡単な方法は何ですか?
・発熱時に子どもの症状を緩和させるにはどうすればいいですか?

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