記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食器や手を消毒する薬品と言えば、アルコール液をイメージする方が多いと思います。この記事では、消毒のためにいろいろなシーンで使われるアルコール液について、その特徴や消毒に適した濃度、消毒効果の及ばないものについても解説します。
別名「消毒用エタノール」「70%イソプロパノール」などと呼ばれることもある消毒用アルコール液は、ほとんどすべての微生物に対し消毒効果を表します。消毒用アルコール液が効果を発揮するものとして、以下が挙げられます。
アルコール液が十分な消毒効果を発揮するには、適度に水と溶解させる必要があります。
一般的に、アルコール液が最も高い消毒効果を持つようになると言われるアルコール濃度は、60~95%くらいです。ただし、インフルエンザウイルスなど脂肪で構成される「エンベロープ」と言う構造を持つ細菌に対しては、適切なアルコール濃度が異なります。
エンベロープを持つウイルスに対し高い消毒効果を得たい場合は、脂肪に反応し破壊する作用のあるアルコール濃度が高いほど、消毒効果も高くなると考えられているのです。このためインフルエンザウイルス対策としてアルコール液を使う場合は、一般的な60~95%ではなく、濃度100%か、100%に近い高濃度のアルコール液を使用するのが良いでしょう。
ここまでに述べてきたように、エンベロープを持つインフルエンザウイルスをはじめ多くのウイルスに対し、アルコール液は高い消毒効果を発揮します。しかし一方で、エンベロープを持たない以下のようなウイルスに対し、アルコール液はほとんど消毒効果を持たないことがわかっています。
アルコール液だけで、感染源となるすべての細菌・ウイルスに対処することは難しいです。できるだけ消毒効果を上げたいなら、まずは石鹸で物理的に細菌・ウイルスを除去してから、アルコール液で消毒することが大切です。
水とアルコールを混ぜたアルコール液は、複数の細菌やウイルスに対し高い消毒効果を発揮します。一般的に消毒液として適切なアルコール濃度は60~95%程度ですが、インフルエンザウイルスなど脂肪からできたエンベロープという組織を持つウイルスに対しては、より高い濃度のアルコール液が適しているとされます。
一方でアルコール液を使っても消毒できないウイルスも存在します。しっかりと消毒するためにも、アルコール消毒をする前に石鹸で手をきちんと洗いましょう。