記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/11/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
一般的に消毒液と言えばアルコール液が知られていますが、医療現場では「オキシドール」という液体が使われている場合もあります。
今回はオキシドールがどのような物質か、考えられる使い道や使用上の注意点とあわせて、まとめてご紹介していきます。
オキシドールは、水素と酸素を3%の濃度で水に溶かしこんで作った薬液です。配合物の特徴から「過酸化水素水」とも呼ばれ、高濃度のものは人の皮膚に付着すると急速に皮膚を酸化・変色させ、強い痛みをもたらす劇薬として知られています。このため、主に工業用プラントで化学物質から取り出されるかたちで生産されています。
3%濃度の過酸化水素水・オキシドールは、薬局やドラッグストアでも市販されています。消毒・殺菌作用のあるオキシドールは、一般家庭において以下のようなシーンで使われることが多いです。
オキシドールの異物除去、細菌やウイルスに対する消毒作用を利用した使い方です。医療現場でも消毒液として使用されています。
虫歯や歯周病、口臭の予防を目的に、うがい薬としてオキシドールを使う方法です。市販のものを10倍ほどに薄めて口に含み、うがいをして使用します。
オキシドールうがいによる殺菌作用は長く、10時間ほど持続するとされますが、誤飲と長時間利用による口の中の皮膚の脆弱化には注意が必要です。
オキシドールの殺菌作用は、水虫の原因である白癬(はくせん)菌にも有効です。ただし、皮膚の深い部分にまでは浸透しないので、水虫の患部よりも感染拡大の原因となるスリッパ、共用マットなどの殺菌・消毒のために使用されます。
オキシドールを、鼻・耳から起こる感染症予防のために消毒液として使用する方法です。耳にオキシドールを垂らし、数分後に綿棒で掃除することで、風邪の一因となる鼻腔周辺の細菌・ウイルスを殺すことができます。
手作りの衣類用漂白剤の材料として、オキシドールを利用する方法です。3倍に薄めたオキシドールに5滴ほどのアンモニア水を垂らし混ぜることで、衣類の黄ばみ・シミの除去に効果的な漂白剤ができます。
オキシドールには爆発・蒸発・分解しやすいという特性があります。100度以上の熱や強いショックを加えると爆発する恐れがあるため、涼しい場所で静かに取り扱いましょう。
また、オキシドールは蒸発しやすいため、市販の容器のふたには穴が開いていて少しずつ蒸発するようになっています。このため長期間放置していると、薬液の濃度が薄くなることがあります。
直射日光にも弱く、日光によって水と酸素に分解される性質がありますので、容器は冷暗所に保管し、早々に使いきるべきと覚えておいてください。
濃度にもよりますが、オキシドールは人の皮膚を傷つけることもある劇薬です。
消毒液として、3%の濃度にまで希釈されたものなら基本的に危険はありませんが、皮膚が弱いなど皮膚炎が心配な人は、手袋をして扱うと安全でしょう。
工業プラントで生産されているオキシドールは、劇薬である過酸化水素水を3%の濃度にまで薄め、殺菌・消毒用にした液体です。ドラッグストアでも市販されていて、医療現場以外に一般家庭でのケガや感染症予防の消毒、衣類用漂白剤の材料としても使われています。ただし過酸化水素水自体が直射日光に弱く、爆発・分解・蒸発しやすい性質があるので、冷暗所に保管し早々に使いきるようにしてください。