記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/9/16 記事改定日: 2020/10/8
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
塩化ベンザルコニウムは病院などで消毒や洗浄をするために使われており、薬局やドラッグストアで購入可能です。手指や医療機器や家具の消毒など、人の体だけではなく物品に対しても使用できます。今回は塩化ベンザルコニウムの使い方や注意点などをご紹介します。
塩化ベンザルコニウムは、病院などで手や指の消毒、壁や床、家具などの拭き掃除など、さまざまな場面で使われています。
無色でほとんど臭いがなく、低刺激です。低価格で、布や金属などを腐食させる心配があまりありません。
黄色ブドウ球菌やMRSAなどの一般細菌には有効です。ただし、ウイルスや結核菌などには効果が得られないとされ、細菌の種類によっても効果に差があります。
塩化ベンザルコニウムを使用して、皮膚や手指を消毒する流れを紹介します。
感染している皮膚を消毒する場合には、塩化ベンザルコニウムの0.01%液(1000倍希釈液)が使われます。
手術で塩化ベンザルコニウムを使用する場合の消毒方法は、以下のような流れになります。
皮膚や粘膜の傷口の消毒や手術部位の粘膜を消毒する際には、塩化ベンザルコニウムの0.01~0.025%液(400〜1000倍希釈液)を使用します。
より消毒の効果を得たい場合には、事前に2%炭酸ナトリウム水溶液で洗った後、塩化ベンザルコニウムの0.1%(100倍希釈液)に浸けて15分間煮沸消毒します。
塩化ベンザルコニウムの0.05~0.2%液(50〜200倍希釈液)を布につけて拭き取る、または吹きかけて消毒しましょう。
腟洗浄では塩化ベンザルコニウムの0.02~0.05%液(200~500倍希釈液)、結膜嚢の洗浄消毒では0.01~0.05%液(200~1000倍希釈液)が使われます。
塩化ベンザルコニウムを使用する際の注意点として、以下のような点を理解しましょう。
塩化ベンザルコニウムは、必ず用法・用量で決められた適用濃度を守りましょう。どの部位に使うかによって適用濃度は変わることに注意が必要です。炎症を起こしている部分や粘膜などに使う場合には、より低濃度に薄めて使用する方がよいと考えられます。
腟洗浄など、性器粘膜への使用は濃度を誤って使用したために化学熱傷を起こした事例もあります。誤った濃度で使用した場合には、直ちにシャワーで洗い流してください。ただしこのようなことを防ぐため、希釈済みの製品を買うことが望ましいです。
塩化ベンザルコニウムの誤飲によって死亡した事例があります。塩化ベンザルコニウムの10%製品の場合、成人致死量は10~30mLといわれています。ペットボトルなどに移し替えて使うことなどは避けましょう。
塩化ベンザルコニウムの原液や高濃度の塩化ベンザルコニウムは皮膚や粘膜を刺激する原因になります。原液が皮膚や粘膜に触れた場合には直ちに流水で十分に洗い、適切な処置を行ってください。
眼や深い傷口などに使用する場合には、精製水や水道水を使うことは避けましょう。滅菌精製水、または注射用水を使用してください。また主な副作用として、発疹やかゆみなどが挙げられます。このような症状がみられたら、すぐに使用を止めて医療機関を受診しましょう。
塩化ベンザルコニウムは第3類医薬品に指定されています。薬局やドラッグストアなどで市販しているため、自己判断で購入することが可能です。近年では通販でも広く流通するようになっています。
塩化ベンザルコニウムは、体への影響が比較的少ない消毒駅ではありますが、傷口や炎症を生じている皮膚や目の粘膜などに付着すると強い刺激を感じることがあり、長時間にわたって刺激に晒されると筋肉の力が一時的に落ちることも報告されています。
購入する際には自宅内できちんと管理できる体制を整え、子供やペットが触れない場所に保管するようにしましょう。また、希釈する前の薬剤に手を触れる際に使用するゴム手袋などを用意しておくようにしてください。
塩化ベンザルコニウムは用法・用量の適用濃度を守らない場合、皮膚や粘膜が必要以上に刺激される恐れがあります。使用目的に合った適用濃度を必ず守ること、皮膚や粘膜に原液を付着させないなど、注意しながら使用しましょう。