記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/1/23
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
喫煙による健康被害は体にさまざまな影響を及ぼします。タバコの煙は喫煙者自身だけでなく、友人や同僚、家族、子供にも影響を与えます。この記事では喫煙者が気をつけたい健康リスク、受動喫煙にどのような症状や疾患を引き起こすのかを紹介します。
タバコを吸う人は吸わない人と比べて風邪をひきやすく、治りにくいと考えられています。タバコを吸うと喉や鼻の粘膜、肺にダメージを与え、ビタミンCが破壊されます。
風邪のウイルスは口や鼻から侵入して粘膜で増殖しますので、粘膜が傷ついているとウイルスへの抵抗力が弱まってしまいます。ビタミンCは免疫力を高める効果を持っていますので、ビタミンCが不足した状態だと風邪ウイルスを防ぐ力が低下します。
喫煙すると、風邪ウイルスに働きかける免疫細胞機能が低下します。そのため、タバコを吸う人は風邪をひきやすく治りにくくなります。
厚生労働省国民健康栄養調査によると、ここ10年の成人喫煙率は減少しています。習慣的に喫煙している人の割合は、男性が29.4%、女性が7.2%、男女合計17.2%です。年齢別にみると、30~40歳代の男性の喫煙率が高いという結果になりました。
国立がん研究センターの調査によると、重度喫煙者(1日21本以上喫煙する)は、2015年では男性が12.4%、女性が2.0%で、2003年以降減少しています。一方、男性の軽度喫煙者(1日10本以下)が増加しています。
喫煙率や喫煙本数は減少傾向にあり、タバコによる悪影響への関心は年々高まっています。タバコの煙によって発生する病気のなかでも慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、喫煙者の発症率が高いことで知られています。
タバコの煙は、喫煙者だけでなく周囲の人にも影響を与えます。煙には2種類がありますが、副流煙を吸い込む受動喫煙も体に悪影響を及ぼします。
受動喫煙は子供の中耳炎発症に関係していると考えられています。受動喫煙が中耳炎を引き起こす原因は、耳管機能不全にあります。耳管とは、耳と鼻をつなぐ管です。
上記のほか、タバコの煙は子供のアレルギー性鼻炎にも影響を及ぼします。受動喫煙によって中耳炎にかかりやすくなり、さらに治療に時間がかかることもあります。禁煙を始めたり、喫煙の頻度を抑えたり、子供の前での喫煙を控えるなどしてみましょう。
喫煙者が吸う主流煙より、受動喫煙による副流煙の方が有害物質などを多く含みます。副流煙の有害物質は主流煙の2~3倍、アンモニアなど刺激物質は約70倍です。受動喫煙による代表的な症状は、頭痛、喉や鼻の痛み、目の痛みです。
受動喫煙の危険性が広く認識され、喫煙に関するルールやマナーが設定されるようになりました。従来と比較すると、飲食店の禁煙や分煙の促進、公共の場での喫煙スペースの確保、歩きタバコに対する措置などが増えています。喫煙者の人たちも、タバコの煙が周囲の人にどのような影響を与えるか理解した上で喫煙するようにしましょう。
風邪にかかりやすく治りにくくなる、受動喫煙が健康リスクを上昇させるなど、タバコの煙による悪影響は喫煙者のみならず周囲の人にも及びます。タバコの煙を原因とする健康リスクは、禁煙することで解消できます。
最もおすすめなのは禁煙です。ただし禁煙は簡単とはいえません。思うように禁煙できないときは禁煙をサポートするグッズを利用したり、医療機関の禁煙外来に相談したりしてみましょう。
タバコが及ぼす影響は、自分が思っているより大きい範囲に及びます。健康的な体づくりを目指す人や家族の体調不良が気になる場合、禁煙に取り組みましょう。喫煙するときも、ルールやマナーを守り周囲の人を気づかってください。