胃の検査でバリウムを飲まなきゃいけないのはどうして?

2019/10/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

健康診断などで胃の検査をするとき、バリウムを飲むことがありますが「バリウムを飲むのが苦手……」という人はいませんか?胃腸の病変を確認するための検査ですが、バリウムに抵抗がある人は少なくありません。この記事ではバリウム検査が必要な理由、下剤を使ったバリウム排出について詳しく説明します。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

バリウムを飲むのはどうして?

バリウム検査の正式名は上部消化管造影検査です。バリウム検査では食道、胃、十二指腸の状態を確認します。通常のレントゲン検査とは異なり、X線を連続照射して検査を行います。

バリウムは造影剤のことで、X線を透過しないという性質を持ちます。そのため、検査ではバリウムが口から入って食道、胃、十二指腸を流れていく様子を確認できます。バリウム検査では体を回転させますが、これはバリウムを消化管の粘膜に十分に付着させるためです。

バリウム検査の手順

  • 発泡剤を飲んで、胃を膨らませる
  • バリウムを飲む
  • 検査台の上で体を回転させる
  • X線を連続照射し、胃腸の動きを確認する

バリウム検査でわかること

  • 消化管が狭くなっていないかどうか
  • 胃潰瘍やがんによる粘膜の凸凹の有無
  • 胃炎の発生の有無

バリウム検査で異常が発見された場合、必要であれば指示に従って精密検査を受けることになります。精密検査が必要というほどではないものの、何らかの所見が見つかる場合も多いので、検査結果や医師の診断をきちんと確認するようにしましょう。

検査後に下剤を飲む必要があるのはどうして?

バリウム検査を受けた場合、バリウムを体外に早く排出するために下剤を飲む必要があります。バリウムは粘度が高く、早めに排出しないとお腹の中で固まってしまいますので、下剤の作用で少しずつ排出するのが理想的です。体内のバリウムが完全に排出されるのは早くても検査翌日です。バリウム排出中は便の色が白くなりますが、排出が終わると通常通りの色に戻ります。

下剤を飲んだ後の過ごし方は?

スムーズにバリウムを排出するために、いくつかポイントがあります。

バリウム排出のポイント

下剤は用法用量を守り、必ず飲む
今まで下剤を飲んだことがないと、抵抗を感じることがあるかもしれません。しかしバリウム排出は健康上必要ですので、用法用量を守って飲んでください。飲むタイミングは、医療機関の指示に従います。
便が出るまで、水など水分を多めに摂る
バリウムをスムーズに排出するために多めの水分摂取が必要です。医師や医療機関のスタッフからも「水をいつもより多く飲んでください」と言われることが多いですので、指示に従うようにしましょう。
食事は野菜など繊維質の多いものを食べる
食事はいつも通りの内容でも構いませんが、何も食べないのはおすすめしません。食事によって腸が刺激されて活発になり、排便が促進されます。便秘がちな人は、ごぼうや納豆など食物繊維が多く含まれる食品を意識的に食べましょう
便が出るまでアルコールやコーヒーは控える
お酒を飲むと、体内の水分を尿として排出させる利尿作用が働きます。便を形成するための水分まで体外に出てしまうと、便秘を招くおそれがあります。するとバリウムの排出が妨げられ、腸内に残ったバリウムが固まってしまいます。アルコールのほか、コーヒーなど利尿作用の高い飲み物に注意して、バリウムがきちんと排出されるまでは摂取を控えましょう。

下剤を飲んだのに便が出ないときは?

バリウムはポイントを守っていればきちんと排出されます。しかし検査の翌日になってもバリウムが排出されない場合は、医療機関に相談しましょう。検査後の便の色が白みがかっていればバリウムが排出されていますが、いつも通りの色であればバリウムが腸内に残ったままの可能性が考えられます。

バリウムが排出されていないサイン

  • 検査後の便の色がいつも通りで、白みがかっていない
  • お腹に膨満感がある
  • 腹痛があらわれる

バリウムが腸内で固まると、炎症を引き起こしたり腸閉塞を引き起こすおそれがあります。腸閉塞を発症すると、消化管が詰まったり孔が開いたりすることがありますので注意してください。

腸閉塞

腸閉塞とは、何らかの原因で腸の一部が狭くなったり腸の動きが低下したりした結果、腸に内容物がつまるといった異変が起こる病気です。腹部全体の痛み、便秘、嘔吐、吐き気、腹部膨満感、発熱などの症状があらわれます。腸閉塞が悪化すると重篤な状態に陥ることがあります。

おわりに:バリウム検査後は下剤を飲んで便の状態をチェック!

バリウム検査は消化管の病変を発見する大切な検査です。ただし検査後は正しい対処をしないとバリウムが腸内に留まってトラブルを引き起こします。下剤をきちんと飲み、水分と食事をとってバリウムを排出するように心がけましょう。医療機関や医師の指示に従ってバリウム検査を行い、検査後にバリウムが排出されていないように感じたら、医師に相談してください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

下剤(11) バリウム(6) 腸閉塞(19) バリウム検査(5) 胃の検査(2)