記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/10/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
頭痛は、ひどくなると日常生活や仕事に支障が出てくることもある厄介な症状です。とくに、頭痛のうちでも「緊張型頭痛」と呼ばれるものは筋肉の緊張によって起こると考えられていて、精神的・身体的ストレスの多い現代人にとっては切っても切れない頭痛です。
つらい緊張型頭痛ですが、市販薬で症状を緩和できることもあります。この記事では、代表的な市販の頭痛薬と、その成分や選び方についてご紹介します。
そもそも頭痛には「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」の3つの種類があります。このうち、「片頭痛」と「群発頭痛」は市販の頭痛薬では対応が難しく、医師の診察と処方による投薬で治療する必要があります。市販の頭痛薬や漢方薬などで対応できる頭痛のほとんどは「緊張型頭痛」で、精神的または身体的ストレスによる目・首・肩の筋肉の疲れや緊張が主な原因と考えられます。
緊張型頭痛の症状は、頭全体が鉢巻で締めつけられるような痛みです。上半身を前かがみにしたパソコン操作や、うつむいた姿勢などを長時間続けていると、頭を支えている首や肩の筋肉に大きな負担がかかります。すると、頭の筋肉も緊張し、血流が悪くなり、頭痛が起こるのです。これは身体的ストレスによる頭痛ですが、精神的ストレスは自律神経に影響することで頭痛を引き起こします。
市販の頭痛薬にはさまざまな種類がありますが、成分では大きく「ロキソプロフェン」「イブプロフェン」「アセトアミノフェン」に分けられます。中でも、ロキソプロフェン系の鎮痛薬としては、1986年に医療用医薬品として販売開始されたロキソニンが有名です。効果が高く胃への負担が軽いことから、販売開始後は瞬く間に鎮痛薬のシェアを奪い、今日に至るまでその圧倒的なシェアを保っています。
しかしその一方で、肝臓への負担が軽視できず、一般用医薬品としては長い間市販されずにいました。再試験によって問題なしと判断されたのは比較的最近のことで、ようやく2011年に一般用医薬品「ロキソニン®︎S」の販売が開始されたのです。その後は各社がさまざまな特色を持たせたロキソプロフェン系の市販薬を販売しています。主なものを以下にご紹介します。
ロキソニン以外の「イブプロフェン」「アセトアミノフェン」などを含む市販薬には、以下のようなものがあります。
イブプロフェンは、痛みの原因物質「プロスタグランジン(PG)」の産生を抑えて頭痛などの痛みを抑える薬です。この作用機序はロキソプロフェンと同じで、これらの薬剤はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれています。ただし、プロスタグランジンには胃の粘膜を保護する作用もあるため、これらの鎮痛薬を使うと胃に負担がかかります。そこで、胃の負担を軽くするため、必ず食後に服用するようにしましょう。
アセトアミノフェンは、プロスタグランジンの産生を抑える作用は弱いため、炎症を抑える効果はありませんが、イブプロフェンと比べると胃にやさしいところが特徴です。鎮痛作用や解熱作用がどのように起こっているのかはっきりとはわかっていませんが、大脳や視床、視床下部など脳に直接作用して熱を下げたり、痛みを抑えたりしているのではないかとされています。
この他に販売されている鎮痛剤として、ピリン系(イソプロピルアンチピリン)の鎮痛剤などがありますが、ピリン系はアレルギーが起きやすいというリスクがあります。また、子供の鎮痛薬としてアセトアミノフェンを配合したものもありますが、子供の頭痛はできるだけ薬剤ではない治療法から始めることが推奨されます。そのため、これらの鎮痛薬は必ず医師や薬剤師に相談してから購入するようにしましょう。
市販の頭痛薬を選ぶときは、以下の2つのポイントに気をつけて選ぶと良いでしょう。
市販薬と処方薬の大きな違いは、成分の配合量です。つまり、一般的に処方薬の方が成分がたくさん含まれているため、効果が高いことが多いのです。しかし、成分量が多いということは、効果の反面、副作用のリスクも高くなるということですから、医師の処方や説明を受けずに買える市販薬では、より安全で副作用が起こりにくいレベルの量しか含んではいけないことになっています。
病院で医師に診察を受けて薬を処方される場合、患者さんの体質や症状などを総合的に判断した上で、リスクができるだけ少ないものを処方してくれます。さらに、薬を受け取るときには必ず薬剤師から説明を受ける必要があります。このように、効果とともに副作用のリスクがあるからこそ、専門家による診断と説明がなければ購入できないようになっているのが処方薬なのです。
薬の価格だけを見ると、健康保険が適用される場合、処方薬の方が安くなることが多いですが、処方薬の場合は薬を買うために診察料が必要となりますので、結果的には市販薬の方が安くなる場合もあり、確実にどちらが安いと言うことはできません。
緊張型頭痛の多くは、市販の頭痛薬でも対応できます。市販の頭痛薬は「ロキソニン」を代表とするロキソプロフェン系が有名ですが、その他にもイブプロフェンやアセトアミノフェンなどの鎮痛成分を使った頭痛薬があります。
市販の鎮痛薬は効き目の速さと効果、胃にやさしいかどうかなどを基準に選ぶと良いでしょう。また、市販の鎮痛薬で効果が得られない場合は処方薬が効くこともありますので、病院を受診しましょう。