造影剤で起こるアレルギー症状とは

2019/9/18

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

造影剤とは、CT検査やMRI検査など、画像診断の際に体内を見やすくするために使われます。また、健康診断のときに胃や腸の状態を見る「バリウム」を飲んだことがある人は多いでしょう。これも造影剤の一種です。

このように便利で広く安全に使われている造影剤ですが、どうしても薬剤である以上、体質によってはアレルギー反応が出てしまうこともあります。造影剤では、どんなアレルギー反応が起こるのでしょうか。

造影剤はどんな検査で使われているの?

造影剤とは、画像診断検査において、体内の状態をよりわかりやすくするために使う薬剤のことです。主にCT検査やMRI検査で使われる造影剤は静脈に注射して全身に分布させますが、血管造影検査ではカテーテルを用いて直接血管内(基本的に動脈、一部静脈)に注入します。また、胃や大腸のバリウム検査、消化管や胆道系の造影検査などの場合、経口・経内視鏡・経肛門などで目的の臓器に対して直接使われることもあります。

使われる造影剤の種類は、大きく分けて以下の3つです。

硫酸バリウム
  • 食道・胃・腸などの検査に多く使われる
  • 血管内ではなく、消化管に対して投与する造影剤なので比較的安全性が高い
  • 誤飲しやすい患者さんの場合肺炎を引き起こすことが、消化管穿孔の可能性がある患者さんの場合は腹膜炎を引き起こすことがある
  • 結腸閉塞の可能性がある患者さんは経口投与できない場合がある
ヨード造影剤
  • CT検査・血管造影検査・X線TV検査などで多く使われる
  • 副作用の起こる割合は約3%、そのうち重篤なものは約0.004~0.04%
  • 軽い副作用:吐き気・嘔吐・かゆみ・じんましんなど
  • 重い副作用:呼吸困難・意識障害・血圧低下など
MRI用造影剤
  • ガドリニウム造影剤:ヨード造影剤よりも副作用の発生頻度が低いが、同様の副作用が生じることもある
  • SPIO:肝臓の検査によく使われ、比較的副作用は少ない。点滴静注投与中に腰痛を生じることがあるが、注入を中止すればすぐに消える
  • MRI経口消化管造影剤:腸管内の画像を見やすくするために用いる鉄を含む造影剤。胆道系の検査で用いることが多い。鉄分アレルギーの場合は使えない

造影剤でみられるアレルギー症状とは

造影剤投与後にみられるアレルギー症状としては、前述のように軽いものでかゆみ・じんましんなど、重いもので気道の閉塞(呼吸困難)・ショックなどがあります。個人差が大きく、30年ほど前の造影剤はアレルギーを含めた副作用が出やすかったのですが、年々改良が続けられ、現在主に使われているヨード造影剤では軽度な副作用で約3%、重篤な副作用で約0.004~0.04%と、頻度は非常に低くなっています。

ただ、厳密には「苦しくなった」という症状が出た場合、アレルギーによって血圧低下や気道の閉塞が起こったのか、造影剤の注入速度が速かったために起こった一時的な症状なのかは区別できないため、現在の造影剤ではアレルギーはほとんど出現していない可能性もあります。しかし、このような症状が起こった場合は、まずアレルギー症状と仮定して対応した方が安全なため、アレルギー症状として対応が行われます

また、造影剤に対して過去にアレルギーが出た(と判断された)、またはもともとアレルギー体質で造影剤に対してもアレルギーを起こしやすいと考えられる場合は原則として造影剤を使わない検査を行いますが、アレルギーによるリスクよりも、造影剤によって画像診断が見やすくなるなどのメリットが上回ると医師が判断した場合には、造影剤を使う検査を行うこともあります。

例えば、重篤な心筋梗塞で生命の危険がある場合、すぐにでも詳細な画像診断結果が必要です。そこで、ヨードテストを施行したり、ステロイドホルモンの抗アレルギー作用に期待して造影剤の前に注射したりして、造影剤を用いた検査と治療を行う場合があります。

このような副作用が起こった場合は、その場ですぐに専門スタッフによる適切な緊急処置を行います。その後、症状が落ち着いてから患者さん本人とご家族に対し、担当スタッフから症状と状況の説明を行います。また、極めてまれではありますが、重篤な副作用が起こった場合にも即座に医師と専門スタッフが対応できるようなシステムが準備されています。

アレルギー持ちの人は要注意!

もともとアレルギー体質の人や、喘息のある人、過去に喘息にかかったことがある人などでは、造影剤に対する重篤なアレルギー反応が起こりやすくなります。また、造影剤は腎臓から尿として排出されますので、腎機能が低下している人ではさらに腎機能を悪化させる可能性もあります。ですから、これらに該当する患者さんは造影剤を使うかどうか、医師とよく相談しましょう。

アレルギーがあって造影剤のリスクがアレルギーのない人よりも高いと考えられる場合、まずは造影剤を使わない検査で代用できないかどうか検討されます。例えば、冠動脈の状態を見たい場合、造影剤を注入してCT検査が一般的ですが、術前検査のように正常な状態かどうかが確認できればよいという場合は、負荷心電図やRI検査などの造影剤を使わない検査で代用できることもあります。

逆に、これらの検査で正常な状態ではないと診断された場合は、冠動脈の詳細な状態を確認する必要があります。そのため、アレルギーによる副作用のリスクと検査のメリットをよく検討し、造影剤を使うかどうかを患者さんと医師の間で相談してもらうことになります。

おわりに:現在、造影剤で起こるアレルギー症状のほとんどは軽いもの

造影剤はかつてアレルギー症状を含めた副作用が出やすいものでしたが、日々改良が重ねられ、現在使われている造影剤ではアレルギー症状を含めた副作用が起こる確率は約3%、その中でも重篤な副作用が起こる確率は約0.04%と非常に少なくなっています。

しかし、もともとアレルギー体質の人では、重篤な副作用が起こるリスクが高いことがわかっています。こうした人は、造影剤を使用するかどうか医師とよく相談しましょう。

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