バリウム検査の目的は?検査をうまく乗り切るコツってある?

2019/9/7

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

バリウム検査とは、よく健康診断などで行われる消化管に関する検査です。胃や食道などを中心に、異常がないかどうかをチェックしますが、これほど広く健康診断に取り入れられているのはなぜなのでしょうか?

また、バリウム検査に痛みなどはありませんが、よくつらい検査、イヤな検査と言われることも多いです。そんなバリウム検査を上手に乗り切るコツについてもお話します。

バリウム検査の目的は?

バリウム検査は、正式には「上部消化管造影検査」と呼ばれ、食道・胃・十二指腸に病変があるかどうかチェックするための検査です。バリウム検査は、以下のような手順で行われます。

  1. 空気で胃を膨らませるための「発泡剤」を飲む
  2. X線を反射する造影剤「バリウム」を飲む
  3. 胃にX線を当てながら、撮影したい場所にうまくバリウムが付着するよう、体を上下左右に動かして7~8枚撮影する
  4. 撮影されたフィルムは、2人以上の医師によって読影(画像を確認し、解読する)される

造影剤検査は通常、絶食した状態で行われますので、胃は空っぽの状態です。しかし、そのままでは胃の状態が十分に撮影できないため、まずは空気で胃を膨らませるための発泡剤を飲みます。さらに、その状態でX線を反射する「バリウム」を飲み、撮影を行います。バリウムが口から食道・胃・十二指腸へと流れていく様子を確認することで、これら消化管のどこかが狭くなっていないかどうか確認することができます。

また、胃の粘膜を詳細に観察するために、体を回転させてバリウムを粘膜に付着させます。これにより、胃潰瘍やがんによって粘膜に凸凹ができているかどうか、胃炎があるかどうかなども確認することができます。

バリウム検査のメリット・デメリット

バリウム検査を行う際のメリット・デメリットには、それぞれ以下のようなものがあります。

メリット
バリウム検査による胃がん検診によって、死亡率が減少する効果があるとわかっている
検査の感度(がんを正確に診断できるかどうか)は70~80%と高い
胃がんだけでなく胃潰瘍やポリープも発見できるため、治療に結びつけやすい
デメリット
X線による放射線被ばくの影響がゼロとは言いきれない
バリウムの誤飲や便秘などの偶発症が起こることもある

バリウム検査のもっとも大きなメリットは、胃がんや胃潰瘍・ポリープなどの疾患の早期発見・早期治療につながるということです。とくに胃がんについては70~80%という高い感度があり、国からも推奨されるほど死亡率減少の効果があることがわかっています。

反面、X線による放射線被ばくがあるため、妊娠中の人は受けられません。とはいえ、バリウム検査で浴びるX線量は自然界で浴びるものと同程度なため、妊娠していない人への健康被害はほとんどないと考えられています。

その他、バリウムの誤飲(気管支に入ってしまうなど)、バリウムがうまく排出されなかったなどの偶発症が起こることがあります。誤飲はとくに高齢者で多いため、バリウムを飲む際には急がずゆっくり飲むことが重要です。また、便秘を防ぐためには検査後にもらう下剤をしっかり服用するとともに、できるだけたくさんの水分を摂取しましょう。

バリウム検査を乗り切るコツってある?

バリウム検査で大変なポイントとして、「そもそも飲みにくい」「ゲップの我慢」「口まわりが汚れる」「検査台の上で回転する」「便秘への不安」の5つがあります。それぞれ、どのように対処していったら良いのか詳しく見ていきましょう。

発泡剤・バリウムが飲みにくい

発泡剤とバリウムは検査の要ですから、飲まないわけにはいきません。発泡剤によって胃を膨らませて細かいひだの様子まで観察できるようにし、そこにバリウムを貼りつけて胃の状態を撮影することで病変を発見します。そこで、発泡剤とバリウムを飲むときのコツを覚えておきましょう。

まず発泡剤は、舌先から少しずつ口内に入れていくのではなく、舌の奥に全ての発泡剤を置いて一気に飲みます。舌先に置くとそこで発泡剤からブクブクと気泡が出てきてしまうため、上手く飲み込めないことが多いです。

次にバリウムですが、粘度が高く味が悪いことから、少しずつ飲んでいくのは少し厳しいです。そこで、味がわからないままさっさと飲めるよう、ごくごくと夏場に水を飲むときのように飲んでしまうと良いでしょう。ただ、近年では味が改良されて飲みやすく味つけされたバリウムも増えていますので、味の悪さはそれほど感じなくて済むかもしれません。

ゲップを我慢するのがつらい

バリウム検査では、よくゲップを我慢してくださいと言われます。これは、ゲップをすると胃を膨らませている空気が抜けてしまい、せっかく発泡剤を飲んだ意味がなくなり、観察しにくくなってしまうためです。

そこで、ゲップを我慢するために、ゲップが出そうになったらつばを飲み込む、顔を若干下向きにしておくなどの工夫を行いましょう。どうしても毎回ゲップが出てしまって我慢できないという人は、普段から炭酸水などでゲップを我慢する訓練をしておくという方法もあります。

口まわりが汚れる

バリウム溶液は白いので、コップで飲んだ後にどうしても口まわりが少し汚れてしまいます。これはどうしようもないので、ティッシュなどが備えつけてあればそれを利用したり、自分でティッシュやハンカチを持っていくと良いでしょう。また、病院によってはストローを用意してくれているところもありますので、ストローが選べる場合はストローにしましょう。

検査台の上で回転する

バリウムを飲んだ後、胃壁にまんべんなくバリウムを貼りつけるためにこの動作が加わります。上下左右に動く台の上で、自分で回転したり、仰向け・うつ伏せ・右向き・左向きなど、さまざまに体の向きを変えたり、台を回転したりします。バランスが取れなくて大変ですが、割り切ってアトラクションのように捉えると、検査も楽しめるかもしれません

検査が終わったあとの便秘への不安

バリウムは、検査後少しずつ体外へ排出されていきますが、この排出を早くするためと便秘防止のために、検査後は下剤が渡されます。この下剤を飲み、水をできるだけたくさん飲みましょう。バリウムはうまく排出できずに溜まってしまうと、消化管内で固まってしまうことがあるため、しっかり排出できるよう下剤と水の摂取は忘れないようにしましょう。

バリウムの排出には、だいたい2日〜数日ほどかかります。バリウムが全て排出されたかどうかの目安は、便の色に白が混じらなくなったかどうかでわかりますので、水分を摂取する目安として確認しておくと良いでしょう。食事に制限はありませんが、可能なら野菜など繊維質の多い食品を食べると排出の助けになります。また、アルコールはバリウムが全て排出されるまでは控えましょう。

おわりに:バリウム検査は胃がんや胃潰瘍、ポリープなどの早期発見が目的

バリウム検査の一番の目的は、胃がんの早期発見です。がんを正確に診断できる確率は約70~80%と言われており、高い確率で発見できます。また、同じように胃粘膜の凸凹がわかることから、胃潰瘍やポリープの早期発見・早期治療にもつながります。

バリウム検査の発泡剤やバリウムは飲みにくいという人も多いですが、コツを掴めば上手に飲むことができます。検査後の便秘にも気をつけながら、バリウム検査を乗り切りましょう。

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