切れ痔(裂肛)の原因は便秘?それとも病気?改善のポイントとは?!

2019/8/24

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

切れ痔の原因で一番多いのは便秘によるものです。切れ痔をくり返すということは、便秘もくり返しているということが考えられます。この記事では切れ痔の原因とメカニズム、切れ痔を解消するポイントを紹介していきます。

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切れ痔(裂肛)の原因とリスクファクター

切れ痔(裂肛)は、直腸の内部のうすい、湿った膜の部分の小さな亀裂または裂傷です。切れ痔の最も一般的な症状は肛門およびその周辺の痛みで、排便時に痛みや出血がおこります。

切れ痔は、通常、排便中のいきみが原因で、肛門管が損傷して起こるものです。そのため、慢性的な便秘の人は切れ痔になりやすいといわれています。また、勢いよく出る下痢によって肛門管が切れて切れ痔になる人も少なくありません。

切れ痔を招くリスクファクター

切れ痔になりやすい要因として最も多い要因は便秘です。便秘時の便は通常の便よりも水分が少なく、固い性状となるため、排便を行う際に強くいきむとその刺激で肛門管が切れてしまうのです。

また、特に便秘と下痢を繰り返しやすい人は切れ痔が悪化することが多々あります。これは、頻回な下痢によって肛門管に加わる刺激が増えることで肛門管の傷が治りにくくなるためです。

このように、切れ痔を招くリスクファクターは便秘や下痢の繰り返しですが、それらを引き起こす生活習慣としては、脂肪分が多く野菜の少ない食生活、運動不足、長時間の座位、水分不足などが挙げられます。また、過敏性腸症候群などの病気も便秘と下痢を繰り返すことがあり、ストレスや自律神経の乱れなども関与していると考えられています。

切れ痔は男性・女性のどちらが多いの?

切れ痔は女性に多い病気であるとされています。原因は、女性の方が便秘になりやすいからです。

女性には月経周期があり、特に月経前にはプロゲステロンという女性ホルモンが多く分泌されます。プロゲステロンは大腸での水分吸収を促す作用があるため、便が硬くなって便秘になりやすくなるのです。また、過度なダイエットによる食物繊維の不足やストレスなども、便秘を引き起こす原因となります。

また、便秘以外の原因としては、女性に多く見られる冷え性は肛門管の血行を悪くして傷の治りが遅くなり、結果として切れ痔が悪化することなどが挙げられます。

切れ痔の原因「便秘」を解消する方法とは!?

上記でも述べましたが、切れ痔の主な原因は便秘や下痢です。

切れ痔は再発する可能性が高く、それを治すためには定期的な排便習慣をつくることが重要です。健康的な便通を保つために、食物繊維をたくさん含む野菜や果物、海藻類を毎日の食事に取り入れましょう。また、適度な運動を取り入れて水分をたくさん摂ることも大切です。

ただし、ゴボウなどの根菜類に多く含まれる不溶性食物繊維を摂って下痢になったりお腹の調子が悪くなる人は、海藻類などに含まれる水溶性食物繊維を中心に摂るように心がけましょう。

おわりに:切れ痔を治すには便秘や下痢の解消が必要。生活習慣を改善しよう

切れ痔の主な原因は便秘や下痢であり、改善のためには健康的な便通を保つ生活習慣を心がけることが必要です。切れ痔を治したいなら、食物繊維を十分に摂り、適度な運動を取り入れ、水分をたくさん摂るように生活習慣を見直すことからはじめてみてください。

ただし、切れ痔が長く続くと治りにくくなりますし、別の病気が原因で切れ痔になってしまっている恐れもあります。まずは一度病院を受診して切れ痔の原因を調べてもらいましょう。

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