ちょっとした動きでも息苦しい…。これってCOPDの症状?

2019/10/13

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

COPDとは、歩くなどのちょっとした動きでも息苦しさ、疲れを感じるようになる疾患です。この記事では、COPDの詳しい症状や発症の仕組み、検査・治療の必要性について解説します。

この息切れ、もしかしてCOPDの症状?

COPDは「慢性閉塞性肺疾患」のことで、肺や気管、気管支に起こる疾患のひとつです。発症すると、以下のような症状が現れます。

  • 長めの階段を登ると、きついと感じたり、息切れが起こったりする
  • 少し早めに歩いたり、同世代の人と同じ速度で歩こうとすると辛く、息切れする
  • 昔から、冬になると朝方に咳や痰が出るようになる

特に喫煙習慣のある40代の人にこのような症状がみられた場合、COPDが強く疑われます。

COPDの症状が出る仕組みは?

COPDは、タバコの煙や汚染された空気を長期間吸い続けたことで、空気の通り道である気管や細(さい)気管支、肺に慢性的な炎症が起こった状態です。

口や鼻から体内に取り込まれた有害な煙や大気は、まず肺までの空気の通り道である気管支、細気管支に炎症を起こします。炎症を起こした細気管支は、痰が溜まって空気の通り道が狭くなるため、徐々に呼吸時に「ゼイゼイ」「ヒューヒュー」といった呼吸音が聞かれるようになります。

炎症が気管支・細気管支から肺胞(肺の中で酸素と二酸化炭素の入れ替えを行っている部分)にまで及ぶと、肺胞壁が崩れて弾力を失います。その結果、肺まで届いていたわずかな酸素もうまく取り入れられなくなり、運動中に苦しくなったり、息切れすることが多くなります。

また、息を吸って酸素を取り込めても、肺胞での二酸化炭素がうまくいかず吐き出せない状態になるため、体の酸素濃度がどんどん低下して呼吸が難しくなっていきます。このように、長期間にわたって徐々に呼吸器官に炎症が広がることで、COPDは発症・悪化していくのです。

COPDの症状は肺以外にも!

COPDが進行すると、息苦しさから全身の運動量・活動量・食事量が低下し、これに伴って筋力や骨密度の低下や、内臓脂肪型肥満も進行していきます。また、COPDによる呼吸器の炎症によって、炎症性サイトカイン(タンパク質の一種)が増加するため、以下のような全身性の炎症が起こります。

  • 骨格筋機能障害、骨粗鬆症、貧血
  • 抑うつ、睡眠障害
  • インスリン抵抗性によるメタボリックシンドローム、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害の発症

このように、COPDから始まった全身性の体調不良はさらなる運動量や食事量の低下を招き、全身の機能低下を早めてしまうのです。

定期的な検査を受けて、症状の進行を抑えよう

COPDは、早期に発見・治療を開始することで、症状の進行を抑えることができます。COPDは、スパイロメーターという機器を使って一秒率(いちびょうりつ)という数値を計測することで診断できます。

一秒率とは、大きく息を吸って吐き出した最初の一秒間で、吸い込んだ空気のうち何%を吐き出せているかを数値化したものです。COPDの人は息を吐き出す速度が遅くなる特徴があり、スパイロメーターで計測した一秒率が70%以下であれば、COPDの可能性アリと判断できます。

スパイロメーターの検査は、呼吸器科のある全国の医療機関で受けられます。喫煙習慣のある人や、日常の動作で息苦しさを感じている人は、5年に1回のペースで検査を受けましょう。

おわりに:息切れや息苦しさ、全身の不調はCOPDのサインである可能性があります

長期にわたりタバコの煙や汚染された空気を吸い込むことにより、空気の通り道である気管支や細気管支、肺胞に慢性的な炎症が起こる状態をCOPDと言います。慢性閉塞性肺疾患とも呼ばれるこの状態になると、十分な量の空気を吸い込んだり、肺で酸素と二酸化炭素をスムーズに入れ替えることが難しくなります。喫煙習慣がある人は、症状が現れる前に発見し治療を始められるよう、定期的に検査を受けましょう。

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