抗ヘルペスウイルスの飲み薬の種類は?市販のものはある?

2019/11/2

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ヘルペスウイルスが原因の皮膚疾患の治療には、飲み薬と塗り薬が使用されます。この記事では、抗ヘルペスウイルス作用のある飲み薬について、使用されるケースや種類、市販の有無や服用上の注意点まで、まとめて解説していきます。

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抗ヘルペスウイルス薬とは

抗ヘルペスウイルス薬は、ヘルペスウイルスの増殖を抑える作用のある薬です。ヘルペスウイルスが引き起こす帯状疱疹や単純疱疹、口唇ヘルペス、性器ヘルペス、水ぼうそうなどの治療のために使用されています。

ヘルペスウイルスは人間の皮膚や粘膜に感染して増殖し、水膨れや赤み、強いかゆみ、ピリピリした痛みを引き起こします。抗ヘルペスウイルス薬は、ヘルペスウイルスが感染している皮膚細胞で活性化し、ウイルスが増殖する際に起こるDNAの複製を阻害してウイルスの増殖を防いでくれます。

抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬の種類は?

抗ヘルペスウイルス薬のうち、飲み薬としては以下の4種類が広く使用されています。

ゾビラックス®
抗ウイルス薬「アシクロビル」を主な有効成分として使用したもの。顆粒や注射などさまざまなタイプがあり、性器ヘルペスの再発抑止などに幅広く使われている。
バルトレックス®
抗ウイルス薬「バラシクロビル」を主な有効成分として使用したもの。従来のアシクロビルをもとに腸からの吸収率を改善した薬で、性器ヘルペスの再発抑制などに使用される。顆粒もあり、嚥下能力が低下した人でも服用できる。
ファムビル®
抗ウイルス薬「ファムシクロビル」を主な有効成分として使用したもの。帯状疱疹や、単純疱疹の治療薬として処方されることが多い。
アメナリーフ®
抗ウイルス薬「アメナメビル」を主な有効成分として使用したもの。帯状疱疹の治療に使われることが多く、肝臓で代謝される特徴があるため、腎臓疾患などを抱える人が使用しやすい。

飲み薬は市販されている?

ゾビラックス®、バルトレックス®、ファムビル®、アメナリーフ®など先述した抗ヘルペスウイルスの飲み薬は、ドラッグストアなどでは市販されていません。これらの薬は、医師からヘルペスウイルスが原因の皮膚疾患であると診断を受けることで入手できる処方薬となっています。

飲み薬を飲むときの注意点は?

処方された抗ヘルペスウイルス薬を服用するときの注意点として、以下が挙げられます。

  • 必ず指示された用法、用量を守って服用すること
  • 副作用と思われる体調不良が起こった際には、速やかに医師または薬剤師に相談すること

なお、抗ヘルペスウイルス薬の服用で起こり得る副作用として以下のようなものがあります。

  • 下痢、吐き気、腹痛などの消化器症状
  • めまい、頭痛、幻覚、妄想、意識障害などの精神神経系症状
  • 尿量の減少、発疹、むくみ、強い倦怠感など腎機能障害による症状

用法・用量を守って服用する限り、抗ヘルペスウイルス薬で上記のような副作用が現れたり、重篤化することはまれと言われていますが、副作用が起こらないというわけではありません。注意すべきポイントと副作用のリスク、その兆候を知ったうえで、適切に服用しましょう。

おわりに:抗ヘルペスウイルスの飲み薬は市販されていません

抗ヘルペスウイルス薬はヘルペスウイルスの増殖を抑え、帯状疱疹や単純疱疹、性器ヘルペス、口唇ヘルペス、水ぼうそうなどの悪化を防ぐ作用のある薬です。塗り薬と飲み薬の2タイプがありますが、このうち飲み薬は市販されておらず、医師の診断を受け医療機関で処方してもらった場合にのみ入手できます。ヘルペスウイルスが原因の疾患を飲み薬で治したい場合は、医療機関で相談のうえ、症状に合うものを処方してもらいましょう。

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