「心肺停止」とはどんな状態のこと?「死亡」との違いは?

2019/2/14

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ニュースやドラマでよく見聞きする「心肺停止」という言葉。これは具体的にどのような状態で、死亡とはどう違うのでしょうか。
今回は心肺停止という言葉の意味について、死亡との違いや、心肺停止状態の人のために周囲ができることとあわせて解説していきます。

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心肺停止とは

心肺停止は文字通り「心臓が止まった状態」で、心停止とも呼ばれています。心臓停止が起こると、数秒から数分の間に以下のような症状が体にあらわれます。

  • 完全に意識を消失して、周囲の呼びかけに一切反応しなくなる
  • 自分の意思で体や筋肉を動かさなくなる
  • 正常な呼吸が停止する代わりに、喘ぐような、空気を大きく飲み込むような呼吸(死戦期呼吸といいます)が数分続く

心肺停止って「死亡」とどう違うの?

人間が死亡しているかどうかを判断するのは医療行為のひとつとされています。このため、実際にその判断を下すことができるのは医師のみです。

以下のような状態を確認できたとき、医師は死亡と判断します。

  • 心肺停止している
  • 瞳孔散大(光を当てても瞳孔が開きっぱなしになっている)

医師以外の人がこれらの状態を確認しても、その人が医師でなければ「死亡」ではなく「心肺停止」と解釈・表現されるのです。

心肺停止に陥った人がいるとき、周囲の人ができること

心肺停止状態になると、脳や肺などすべての臓器への血液・酸素の供給が止まってしまうため、放っておくと数分で死に至ります。このため、心肺停止に陥ってから救急車が到着するまでに何も処置をしないと、かなり高い確率で死亡するか、何らかの後遺症がのこります。

心肺停止に陥った人の生存確率を高め、後遺症の程度・リスクを少しでも低くするためには、周囲の人が心肺蘇生法とAEDを行うことが大切です。

以下心肺蘇生法とAEDについて、簡単にご紹介します。

心肺蘇生法

  1. 両方の手のひらを患者さんの胸の真ん中にあたりに重ね置き、ひじをまっすぐ伸ばした状態で5cmほど下がるように圧迫する
  2. この動きを1度に5~10回程度、1分間に100回程度になるように続ける

この方法は胸骨圧迫、いわゆる心臓マッサージと呼ばれる方法で、心臓の代わりに圧をかけて血液を全身に少しでも送る目的で行われます。

AED

AEDとは、心肺停止した人に対し、医療関係者でなくても蘇生できるように開発された医療機器の名称です。機器の発する指示に従って患者の体にパッチを貼り付け、電気ショックを与えていくので、医師以外の人でも使用できます。近くにAEDがあるときは心肺蘇生法とあわせてAEDも使用するようにしましょう。

おわりに:心肺停止は心停止の状態、医師が確認してはじめて死亡となる

心肺停止とは、心臓が止まった心停止、およびこれによって身体機能のほとんどすべてが停止した状態です。実質的には死亡している状態ですが、死亡の判断は医師のみが行える医療行為です。このため、医師が心肺停止と瞳孔が光に反応して収縮しない瞳孔散大を確認してはじめて、死亡していると断定されます。

心肺停止状態の人を救うには心肺蘇生法の実施やAEDの使用が効果的ですので、いざという時に対応できるよう方法を知っておきましょう。

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