記事監修医師
工藤内科 副院長 工藤孝文先生のスマホ診療できるダイエット外来
工藤 孝文 先生
「明日早起きしないといけないのに、なかなか寝つけない」といった入眠障害に悩まされていませんか?実はその原因は、いつもの生活習慣にあるかもしれません。当てはまるものがないかチェックし、しっかり対策をしていきましょう。
現代ではモバイルメッセンジャーやSNSのやりとり、気になるwebページのチェックなど、スマートフォンを触る時間がつい増えがちですよね。お風呂上がりの時から寝る直前まで、スマホの画面を見て過ごすという人もかなり多いのではないでしょうか?
しかし、スマホやパソコン、タブレットのモニターが発するブルーライトは、寝つきの悪化の原因になります。
人は夜になると、脳から睡眠を促すホルモン「メラトニン」が分泌され、徐々に眠気を感じていきます。しかし夜にブルーライトの強い光を見ると、目の視細胞が光を感知し、脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)に情報が伝わります。
この視交叉上核は、睡眠リズムの維持に欠かせない「体内時計」を司る場所です。
またブルーライトは、メラトニンを作る松果体(脳の内分泌器官の1つ)に刺激を与えるために、脳はライトの光で「昼」と判断します。つまり夜にも関わらず、睡眠を促すメラトニンの分泌が抑制されるために、眠りにくくなってしまうのです。
一般的にメラトニンは夜10時以降から深夜2~3時まで分泌が続き、深い眠りをもたらします。そのため、夜10時を過ぎたらスマホを見ないようにすることをオススメします。
夜10時以降もスマホをチェックしなければいけないという人は、夜になったらスマホの画面設定を暖色系に変えてみてください。暖色系の画面の方が目に優しく、脳への刺激も減るために、寝つきの改善が期待できます。また、画面の光量も弱めに調節しましょう。
ただ、画面の色や光量の設定を変えても刺激自体はなくなりません。寝る前はできるだけスマホを見る回数を減らすようにしてください。
涼しくなってくる秋や肌寒い冬には、ついお風呂の温度を熱くしがちです。
しかし、お湯の温度が熱すぎると交感神経(自律神経の一つ。体の活動時や昼間に活性化する)が活発になり、血圧が上昇して脳が覚醒しやすくなり、寝つきの悪化につながってしまいます。
また、長湯も体温を上げすぎて交感神経を優位にさせてしまうのでオススメできません。
交感神経を活性化しないためには、お湯の温度を38℃前後にするのがオススメです。ただ、温度の感じ方は人や季節によって変化するので、ご自身の肌感覚で「ぬるめ」と感じる程度に調整してください。
また、湯船に浸かるのも10分程度に留めておきましょう。
なお、入浴のタイミングは寝る1時間前が理想です。人は深部体温の下がり幅が大きいほど、眠りに入りやすくなります。入浴で深部体温を一時的に上げておくと、ちょうど1時間ほど後に体温が下がることになるので、寝つきやすくなるでしょう。
寝る直前に歯磨きをする人も多いと思いますが、実はこれが寝つきの悪さの原因になることがあります。
寝る前の歯磨きで歯茎に強い刺激を与えてしまうと、先述の睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌が抑制され、交感神経が優位になり、寝つきが悪くなることがあるのです。
対処法①でお伝えしたように、一般的にメラトニンの分泌は夜10時以降に始まり、深夜2~3時まで続きます。この時間帯にやってくる眠気を妨げないように、できるだけ寝る1時間前には歯磨きを済ませるようにしましょう。
寝る直前の歯磨きやスマホ操作、熱めのお風呂での長湯など、ついやってしまいがちな生活習慣があったのではないでしょうか?これらの習慣が重なると、なかなか寝つけないようになってしまいます。ぜひ見直してみてください。
※この記事は工藤孝文先生の著書「疲れない大百科 – 女性専門の疲労外来ドクターが教える – (美人開花シリーズ)」を一部編集し、工藤先生の監修のもと発表しています。