トランサミン®︎が処方されるのはどんなとき?

2019/11/6

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

皮膚や鼻・口の粘膜に炎症が起きたときなどに処方される薬の1つに、トランサミン®が挙げられます。この記事では、トランサミン®という薬について、その作用や特徴、使用によって起こり得る副作用や気を付けるべきポイントなどをまとめてご紹介します。

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トランサミン®︎ってどんな薬?

トランサミン®は、血を止める目的で使われるお薬です。主に錠剤、または散剤と呼ばれる粉薬として処方され、血液を溶かす作用のあるプラスミンの働きを抑えて止血することから「抗プラスミン薬」とも呼ばれています。

プラスミンの働きを抑制すると抗炎症作用も得られるため、トランサミン®はケガによる出血等以外にも、以下のような各種炎症の治療薬としても用いられています。

  • アレルギー反応による、皮膚の蕁麻疹や湿疹、腫れや炎症の緩和
  • のどの痛み、赤み、腫れ、口内炎の緩和
  • 紫外線や加齢によって現れる、シミ治療

トランサミン®︎で起こり得る副作用は?

トランサミン®は比較的安全性が高いとされる薬ですが、人によっては、服用で以下のような副作用が現れる場合があります。

  • 食欲不振、吐き気、胸焼け、嘔吐などの消化器症状
  • ムズムズする、かゆみを感じる、発疹が出るなどの皮膚症状

また、ごくまれに発作的に全身の筋肉が収縮するけいれん症状が現れることもあります。トランサミン®の服用後、上記のような副作用が疑われる症状が現れた場合は、すぐに服用を中止して医師または薬剤師に相談してください。

トランサミン®︎を服用中に気をつけることは?

血を止まりやすくする作用のあるトランサミン®は、言い換えれば血液を固まりやすくし、心筋梗塞や脳梗塞の原因である血栓をできやすくする作用も持っています。このため、トランサミン®の服用にあたっては、深刻な副作用として血管に血の塊が詰まり血流が阻害される「血栓症」を引き起こす可能性があることを理解しておく必要があります。

特に、以下の条件に当てはまる人はトランサミン®の服用時には注意が必要ですので、医師と薬剤師に相談のうえ、用法・用量を守って服用してください。

  • 高血圧や高脂血症、糖尿病、腎不全など、何らかの持病がある
  • 別の疾患などが原因で、服用・使用している薬がある
  • 疾患や持病の治療のため、トロンビンなど他の止血薬を既に使っている
  • 過去に心筋梗塞、脳梗塞、脳血栓、血栓性静脈炎など血栓ができることが原因で起こる病気を発症・治療した経験がある

おわりに:トランサミン®は、止血や炎症を抑える目的で処方される

血液を溶かすプラスミンに働きかけ、作用を抑制することで血を止まりやすくしてくれるトランサミン®は、止血や抗炎症、シミ治療のために処方されます。比較的安全な薬とされ、軽い消化器症状や皮膚のかゆみ・発疹以外の重大な副作用が現れることは、ほとんどありません。しかし血を固まりやすくする作用があるため、血栓症と言う、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる深刻な副作用を引き起こす可能性もあります。正しく理解しておきましょう。

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