記事監修医師
工藤内科 副院長 工藤孝文先生のスマホ診療できるダイエット外来
工藤 孝文 先生
「夜、布団に入ってから寝つくまでに時間がかかる…」と悩んでいませんか?
寝つきの悪さでお困りの人は、この記事で紹介する「入眠スイッチをONにする」方法を取り入れてみましょう。
「仕事で体は疲れているはずなのに、目が冴えて就寝時間になっても寝つけない」という現象には、「自律神経」が関係しています。
自律神経は、循環器や呼吸器、消化器の活動、体温調節や血行などを24時間休まずコントロールし続けている神経で、下記の2つに分けられます。
夜に目が冴えてしまう理由としては、日中に高ぶった「交感神経」が優位な状態が続き、体や脳が覚醒してしまったままになっていることが挙げられます。
また、寝る前にスマートフォンやタブレットなどの光を見ることも交感神経を高ぶらせることになるので、寝つきが悪くなる原因になります。
寝つきを良くするには交感神経を落ち着かせ「副交感神経」を優位にする必要がありますが、自律神経そのものは自分ではコントロールできません。
ただ、副交感神経を優位にして眠りを誘う「入眠スイッチをONにする」方法はあります。
事務で単純作業を繰り返していたり、難しい本を読んでいたりすると、眠くなってしまった経験はありませんか?実はこういった単純作業は、副交感神経を優位にする効果があることがわかっています。
とくに読書は、副交感神経を優位にして脳をリラックスさせる作用が大きいといわれています。絵本や優しい雰囲気の写真集、イラストの多い本などはさらにリラックス効果が見込めるとされているのでオススメです。
なお、思わず集中してしまうようなおもしろい本や大好きな本を読むと、かえって脳が覚醒してしまい寝つけなくなることがあるので注意しましょう。
寝る前に読むなら「ちょっと退屈に感じるような本」が理想です。
ボディクリームでのマッサージはリラックス効果があり、副交感神経を優位にして眠りを誘いやすくなります。好きな香りのクリームを使えば、さらにリラックスしやすくなるでしょう。
ヒーリングミュージックや静かなクラシックも、副交感神経を優位にして脳をリラックスさせる効果があります。ただし、大きな音やアップテンポな音楽は脳を覚醒させてしまいます。寝る前に聴くときは音量はおさえめにして、アップテンポな音楽は避けましょう。
「腹式呼吸」とは、鼻で息を吸いながらお腹を膨らませ、お腹をへこませながら息を吐く呼吸法です。普段している「胸式呼吸」(浅く短い呼吸。息を吸い込んでも、横隔膜があまり動かずに吐き出される)とは違い、腹圧がかかるので呼吸のリズムがゆっくりになります。
この腹式呼吸には、入眠を促す作用があるとされます。
横隔膜には自律神経は密集しています。腹式呼吸をすると横隔膜が上下しますが、呼吸がゆっくりになるほど横隔膜の自律神経が刺激されて副交感神経が優位になり、心身のリラックスや入眠作用につながるのです。
腹式呼吸のコツがなかなか掴めない人は、おもちゃの「吹きもどし」を使ってみるのがオススメです。就寝前に取り入れてみましょう。
「4・7・8呼吸法」とは、腹式呼吸が簡単にできる呼吸法です。
これを3回繰り返すと自然と腹式呼吸になっていきますので、眠気もきやすくなりますよ。
眠気には、自律神経の「交感神経」と「副交感神経」のバランスが大きく関係しています。就寝前に読書などのリラックスタイムや腹式呼吸などをとり入れ、副交感神経を優位にして「入眠スイッチをONに」しましょう。
※この記事は工藤孝文先生の著書「疲れない大百科 – 女性専門の疲労外来ドクターが教える – (美人開花シリーズ)」を一部編集し、工藤先生の監修のもと発表しています。