ウソの薬なのに症状改善!?プラシーボ効果ってホントにあるの?

2017/1/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

「プラシーボ効果」という言葉、聞いたことはありませんか?

打たれた注射に中身が入っていなかったとしても、
実は何の効果もない薬を飲んだとしても、
「よく効くよ」「症状が治るよ」と言われただけで
本当に症状が和らいだように実感し、健康状態が改善できてしまう――
そんな効果のことを「プラシーボ効果」といいます。

でも、本当にプラシーボ効果は存在するのでしょうか?
気になる方は、ぜひ続きを読んでみてください!

本当に効いた!プラシーボ効果の実例

プラシーボ効果の実験は1996年、「新しい鎮痛薬の研究に参加してもらう」という名目で学生たちを集めて行われました。
その鎮痛薬は、皮膚に塗ると薬のような臭いがする茶色の液体でした。しかし実際には、水、ヨウ素、タイム油しか含まれておらず、鎮痛作用があるものは入っていない偽の鎮痛薬ということを学生には知らせず、実験は行われました。
学生たちは鎮痛薬を片方の人差し指に塗り、もう片方の人差し指には塗りませんでした。次にそれぞれの人差し指を工具で圧迫したところ、偽の薬にもかかわらず、学生たちは「薬を塗った指の方が痛みが少なかった」と報告しました。

つまりこの実験によって、「痛みに効く」という期待や信じる気持ちだけで痛みが軽減した―「プラシーボ効果」が証明されたのです。またほかにも胃潰瘍の患者で実験をしてみたところ、プラシーボ効果で通常の治療法よりも速く治癒することが証明された例もあります。

これらの驚くべき結果は、「プラシーボ効果が本物で強力である」ということです。プラシーボ(偽の薬)は健康状態を本当に改善する効果があるのです。

プラシーボ効果しかない補完代替医療に注意!

アロマセラピーやサプリメントなどの補完代替医療を選択する際、注意しなければいけない点があります。それは、もしプラシーボ効果のみを引き起こすだけで効果がない補完代替医療を選択してしまった場合、より効果的な治療を受ける機会を逃すリスクがあるという点です。

「プラシーボ効果ではなく本当に効き目があるか」「ほかの治療法よりも優れているか」を証明するには、臨床試験が必要です。臨床試験では先入観や偶然性などを最小限に抑えることで、可能な限り公平に効果を見出します。

あなたがやろうとしている補完代替医療は、きちんとした臨床試験を経たものでしょうか。もし効果が実証されていない治療法を実践して改善した場合、それは治療法の効果なのではなくプラシーボ効果を経験しているだけなのかもしれません。

もちろん、プラシーボ効果による健康状態の改善も改善であり、喜ばしいことです。
しかし、多くの病気において、プラシーボよりも優れた治療法があることを忘れないでください。プラシーボ効果しかない治療法を選択すると、もっと優れた治療法で得られる効果を逃すことにつながりかねません。

おわりに

「病は気から」とは言いますが、「プラシーボ効果」は本当に実験で効果が証明されているのですね!ただ、このプラシーボ効果を悪用した治療法が世の中に存在しているのも事実です。もし何らかの補完代替医療をしているのなら、それがきちんとした臨床試験を行ったものなのか確認してみてもいいかもしれません。

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