記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/12/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
痛みや腫れなどの炎症が起こったとき、もちろん症状の原因そのものを治療するのが良いことは大前提ですが、症状が辛いので、ひとまず痛みや腫れをしずめたいというときがあります。そんなときに使われるのが、ロルカム®︎を含む消炎鎮痛剤です。
ロルカム®︎はどのように炎症や痛みをしずめる薬で、どんな副作用や注意点があるのでしょうか?処方されたときには、ぜひ一度目を通しておきましょう。
ロルカム®︎は、炎症をしずめ、腫れや発赤・痛みなどの症状をやわらげる薬です。熱を下げる作用もあります。ただし、あくまでも対症療法薬であり、痛みや熱の原因そのものを治療する薬ではありません。
炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質の合成に関わる酵素「シクロオキシゲナーゼ」の働きを阻害し、プロスタグランジンが作られるのを抑え、上記のような症状を抑えます。ロルカム®︎は「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」と呼ばれ、さまざまな痛みの症状に対して広く使われます。
化学構造としてはオキシカム系(同じようにシクロオキシゲナーゼの働きを抑えるNSAIDs)に分類されますが、半減期は従来のオキシカム系の薬20分の1と非常に短いという特徴があります。さらに、溶け出しやすい製剤にし、体内の吸収性が改善されています。これにより、内服後30分程度で血中最高濃度に到達し、素早い鎮痛効果を発揮します。
ロルカム®︎を含むNSAIDsに見られやすい副作用に、胃腸症状(胃痛や腹痛・吐き気・嘔吐・食欲不振など)があります。これは、プロスタグランジンが、胃壁が自ら分泌する胃液によって溶かされないよう守る防御作用に関連しているためです。長期間恒常的に服用していると、胃潰瘍などの消化性潰瘍につながる可能性があるため、長く飲み続ける場合や、高齢者などで胃腸の弱い人は十分に注意が必要です。
また、アレルギー症状として、人によっては発疹やじんましん、喘息の発作を引き起こすおそれもあります。もともと喘息の持病がある人、アレルギー体質の人が服用するときは注意しましょう。
そのほか、肝機能や腎機能が低下したり、血液に異常が現れたりすることがあります。リウマチなどで長期間服用する場合は、定期的に肝機能や腎機能の検査、胃腸の検診を受けておくと良いでしょう。
頻度としては非常に少ないですが、以下のような重い副作用が現れた場合はすぐに医療機関を受診しましょう。
副作用に関係しますので、もともと胃腸の機能が低下している人、腎機能や肝機能が低下している人、喘息やアレルギーのある人など、持病がある場合、服用中の薬がある場合は必ず診察時に医師に伝えましょう。また、妊娠中や妊娠の可能性がある人も、医師に伝えて飲んでも良いかどうか相談する必要があります。
ロルカム®︎の服用に適さない人と、注意が必要な人は、それぞれ以下のような人です。
アスピリン喘息とは、鎮痛薬や解熱薬で喘息を起こしてしまう人で、このような人はロルカム®︎でも喘息を引き起こす可能性が高いため、使いません。胃潰瘍など既に消化性潰瘍がある人も避けるのが基本ですが、場合によっては特別な胃薬と併用して使うことがあります。また、高齢の人では副作用が出やすいため、慎重に使います。
相互作用を引き起こす可能性から、飲み合わせに注意が必要な薬は主に以下の6種類です。
この他にもたくさんの薬と相互作用を引き起こす可能性がありますので、上記以外にも服用中の薬は必ず医師に伝えておきましょう。
服用方法は、食後すぐに多めの水(コップ1杯程度)で飲みます。頓服で痛みがあるときだけ飲む場合も、胃腸への影響を鑑み、できるだけ食後に飲むのが望ましいです。もし、空腹時に飲む場合、軽食をとるか、牛乳で飲むことで胃への負担を軽減できます。
肩こり・腰痛・外傷などで使用している場合、漫然と飲み続けず、痛みの程度や症状の回復具合によって減量や中止、継続するかどうかを医師と相談しましょう。リウマチなどの慢性的な炎症疾患の場合は別ですが、一般的に鎮痛薬を安易に長期間服用するのは副作用のデメリットの方が高いです。関節リウマチの場合は、効果が感じられるまで2~4週間程度かかることもありますので、医師の指示をきちんと守りましょう。
また、妊娠中の場合も胎児への影響を考え、できるだけ使用は控え、どうしても必要な場合のみ必要最小限を用いるようにします。とくに、妊娠末期に長期服用することは絶対に避けなくてはなりません。加えて、大人に処方された薬を小さな子どもに代用することはやめましょう。
ロルカム®︎を含むNSAIDsと呼ばれる消炎鎮痛剤は、熱や痛みを引き起こすプロスタグランジンの産生を抑えて消炎鎮痛作用を発揮しますが、プロスタグランジンは胃を守る働きにも関与しているため、副作用として胃腸症状に注意が必要です。
頓服としてたまに飲む程度ならそれほど心配はいりませんが、肩こりや腰痛などで安易に長期間飲み続けるのは推奨されません。リウマチなどで長期間の服用が必要な場合は、定期的に検査を受けましょう。