記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/12/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
成長速度の速い赤ちゃんには、特に十分な鉄分の摂取が重要であるとされます。今回は赤ちゃんに鉄分摂取が必要とされる理由を、鉄分不足によって陥る症状や、十分な量の鉄分摂取のためにできる対策とあわせてご紹介します。
生まれてから最初の1年で体重が約3倍、身長が約1.5倍にまで急激に成長する赤ちゃんは、その過程で大量の鉄分を消費します。赤ちゃんは生後間もなくから半年くらいまでの間、体内に蓄えられている母体由来の鉄分と、母乳や食事から摂取する鉄分で急速な成長に必要な量をまかなっています。
しかし生後9カ月以降になると、体内に蓄えておいた母体由来の鉄分は消費され、鉄分摂取を食事のみに頼るかたちになってきます。体の発育が著しい生後9カ月から2歳くらいまでの間に鉄分が不足すると、体の発育に悪影響が出たり、鉄不足の症状に悩まされるようになります。月齢に合った赤ちゃんの心身の成長を促すため、また健康な状態で毎日を過ごさせてあげるためには、積極的な鉄分摂取が欠かせないのです。
生後9か月以降、2歳くらいまでの発育期の赤ちゃんに鉄分が不足すると、以下のような症状を引き起こします。
また鉄分不足の状態が3カ月以上続くと鉄欠乏性貧血になり、上記のような症状とともに、注意力散漫やちょっとした刺激でも疲れて泣いてしまうようになります。
離乳食を食べ始めているなら、体内の母体由来の鉄分が尽きてくる生後6カ月以降を目安に、以下のような鉄分豊富な食材を意識的に離乳食に取り入れてください。
離乳食を食べてくれない、またはミルクを飲んでいる段階であれば、鉄分を多く含む飲料「フォローアップミルク」をうまく利用しましょう。母乳や離乳食と一緒にフォローアップミルクを飲ませることで、赤ちゃんに不足している鉄分をある程度補えます。
また、お母さんが積極的に食事やサプリメントから鉄分を摂り、母乳に含まれる鉄分量を増やす努力をするのもおすすめです。無理のない範囲で、母子両方の健康を保てるよう積極的に鉄分を摂取していきましょう。ただし、上記の対策を取っても赤ちゃんの栄養状態や貧血症状が改善しない場合は、小児科の医師に相談してください。
生まれ持った母体由来の鉄分を消費し、なお急速に成長する生後9カ月から2歳くらいまでの赤ちゃんは、鉄分不足になりやすい状態です。鉄分は骨や筋肉、血管の成長や、大きくなった体に血を行き渡らせるのに欠かせません。このため、発育期であるこの時期に鉄分が不足すると、赤ちゃんの脳や体の発達に悪影響が及ぶ可能性もあります。フォローアップミルクや離乳食で積極的に鉄分を摂り、鉄不足を予防していきましょう。