記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2023/9/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
アレルギーとは、本来自分の体を守ってくれるはずの免疫反応がある特定の物質(抗原)に対して過剰に働いてしまい、さまざまな症状を引き起こすことを言います。有名なものには、アトピー性皮膚炎や、花粉症などがあります。このようなアレルギー反応を抑える「抗アレルギー薬」の一種に、モンテルカストという成分があります。この記事では、モンテルカストの作用や起こりうる副作用などを中心に、特徴をご紹介します。
モンテルカストは、アレルギー反応を抑える成分です。アレルギー反応には、ヒスタミンやロイコトリエンなどさまざまな体内物質が関わっていますが、モンテルカストはこのうちロイコトリエンの働きを強力に抑えます。ロイコトリエンは喘息に深く関わっているため、軽い喘息ならモンテルカストを含む薬剤単独でも十分な効果が得られます。また、鼻水や鼻詰まりなど、鼻の粘膜で起こるアレルギー症状に対しても有効なことがわかっています。
モンテルカストは、肺や気管支に存在するロイコトリエン受容体を阻害し、選択的にロイコトリエンに対して働き、抗炎症作用や気管支収縮抑制作用を発現します。そのため、気道過敏性の亢進が抑えられ、喘息の発作が起こりにくくなります。同じように、鼻の粘膜においても抗炎症作用・過敏性抑制作用を発揮することで、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどを緩和します。
このようにロイコトリエンにのみ選択的に作用する抗アレルギー薬を、専門的には「ロイコトリエン拮抗薬」「抗ロイコトリエン薬」「ロイコトリエン阻害薬」などと呼んでいます。新しいタイプの抗アレルギー薬で、従来使われてきた抗アレルギー薬と比べ、とくに喘息に対して良い効果を発揮するのが大きな特徴です。ただし、重症の喘息に関しては単独で用いず、吸入ステロイド薬と併用する必要があります。
モンテルカストを含む先発薬には、以下の2種類があります。
OD錠とは「口腔内崩壊錠」のことで、唾液や少量の水ですぐに口の中で溶けることから、高齢者など、飲み込む力が弱い人でも無理なく服用できます。チュアブル錠とは「咀嚼錠」のことで、口の中で噛み砕いて服用することから、水がなくても服用でき、通常の錠剤サイズが飲み込めない小児でも飲みやすい錠剤です。
また、モンテルカストを含む薬には、錠剤・OD錠・チュアブル錠・細粒のいずれもジェネリック医薬品が販売されています。日本での適応としては、錠剤とOD錠が気管支喘息とアレルギー性鼻炎の両方、チュアブル錠と細粒が気管支喘息のみとなっています。ですから、気管支喘息の場合はどれを使用しても構いませんが、アレルギー性鼻炎の場合は錠剤かOD錠しか保険適応にならない点に注意しましょう。
モンテルカストは副作用の少ない成分ですが、人によっては「吐き気・腹痛・胸焼け・下痢」などの消化器症状や、「頭痛・眠気」などの神経症状、「発疹・じんましん・かゆみ」などのアレルギー症状を起こすことがあります。症状がひどい場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
また、重い副作用はめったにありませんが、念のため以下のような疾患の初期症状に注意しておきましょう。
まれに報告される副作用として、劇症肝炎などの重篤な肝機能障害が挙げられます。服用中は、定期的に肝機能検査を受けておき、数値の変化に注意しておきましょう。
また、抗てんかん薬のフェノバール®(一般名:フェノバルビタール)と併用すると、モンテルカストの作用が弱まる可能性がありますので、併用の際は十分注意が必要です。
モンテルカストは、抗アレルギー薬の1つで、喘息に深く関わっている「ロイコトリエン」という物質の働きを阻害します。軽い喘息なら単独でも十分効果が期待できますが、重症の喘息に対しては吸入ステロイド薬と併用します。
モンテルカストを含む薬は副作用が少ないですが、人によってはアレルギー反応や、吐き気や下痢などの消化器症状を引き起こすことがあるため、症状の変化には注意しておきましょう。